2010/05/05

4川原湯温泉  山木館 (再訪)  70
 内湯が掛け流し 露天風呂は循環 
近い将来、八つ場ダムによって湖水に沈む温泉地の川原湯に久しぶりに訪問した。みよしやに入浴をお願いしたが、断られ、和風の瀟洒な玄関の山木館に入浴した。分析表に拠ると元湯・新湯混合泉で71.6度の高い温度の源泉である。総計1960mgでHS 1.2 H2S 1.0の硫黄含有量である。仄かな硫黄臭のする含硫黄石膏芒硝食塩泉(S-CaNa-Cl・SO4)である。内湯はムササビ覗きの湯と称され掛け流しである。御影石の縁のタイル浴槽である。透明、少苦味、湯口少硫黄臭と記録した。露天風呂の水車の湯はオーバーフロー循環で硫黄臭は抜けていた。

5川原湯温泉 王湯 (再訪)  75 
 透明、たまご味、少硫黄臭   
川原湯温泉で一番大きな共同湯が王湯である。木造の立派な造りで、壁の一部が石張りになっている。内湯の棟と露天風呂が離れており、別の脱衣場になっている。湯は新湯源泉で含硫黄食塩石膏泉(S-CaNa―SO4・Cl)で山木館の食塩泉が硫酸塩泉に変わっている。総計1539mgである。食塩と石膏が拮抗しているので少しの差で入れ替わるのであろう。H2Sが2.0mgの含有量である。78.9度という高温のため少加水している。透明、たまご味、少硫黄臭と硫黄分の感触がはっきりと分かる温泉である。石張りの露天風呂と伊豆石の底の小判型内湯の2つがある。ともに掛け流しで使い方は良い。

6聖天様露天風呂  温泉地再訪  75 
 透明白湯の華浮遊 たまご味苦味残る 少硫黄臭 
川原湯温泉の山の斜面を登ったところにある共同湯で、露天風呂のみの施設。浴槽が1つで混浴である。瀟洒な脱衣小屋が建っており、露天風呂の上にも屋根が掛かっている。石張りの四角い浴槽で湯が少量加水されながら掛け流されている。源泉は良いもので硫黄分が含有されているのが良く分かる。透明の湯ながら白い溶きたまご状の湯の華が多数浮遊している。たまご味で苦味が残る。少硫黄臭であった。無人の開放施設なので、マナーを守って利用して行きたい。

7川原湯温泉   笹湯共同湯  温泉地再訪  80 
 鄙びた良い風情の共同湯  
温泉街の下方にある鄙びた共同湯。木造の古い造りのままの外観は風情があり、茶色に染まった板の壁が古さを物語っている。天井の高い空間にタイル張り浴槽がある。床は四角いタイルであるが、浴槽はモザイクタイルで2色に張り分けられ奇麗である。湯は加水ながら掛け流しで透明、少苦味、微硫黄臭と観察した。新湯源泉ながら王湯に掲示されていたものと違う。総計1890mgでS―CaNa―Cl ・SO4である。HS 2.6 H2S 1.5という硫黄含有量が多くなっていた。脱衣棚と浴槽が同じ空間にあるタイプの浴室で木の壁とタイルの浴槽、高い天井の醸し出す風情が良く、3箇所の共同湯の中で一番気に入った。写真をたくさん撮ったが良い出来であった。

2010/05/04

1 鹿沢温泉 紅葉館   (再訪) 80 
 重炭酸土類泉の掛け流しで個性がしっかりとある
新幹線の佐久平にて下車して、レンタカーを借りた。ここからのコースとしたのは群馬と長野の温泉に行くのに都合が良いからである。100体観音のある地蔵峠を登って行き、曾遊の奈良原温泉の横を過ぎて湯の丸高原にある鹿沢温泉に入浴した。100番目の観音像がこの鹿沢温泉の前にあり終点である。ここは記憶が薄くなるほど昔の訪問で20年近く行っていない。しかし一軒宿の紅葉館は同じように佇んでいた。浴室も以前のままでやや低くなった半地下のような位置である。浴槽の横に飛天のようなレリーフがある古い浴室である。雲井の湯源泉と命名され44.5度の源泉である。源泉は湯小屋の道路側にあり、毎分500リットルほど湧出しているが、ここではそのうち61リットルを使い男女別に30.5リットルずつ掛け流しにしている。簡素な四角い浴槽一つでその容量には充分な量で適温である。残りは新鹿沢に引き湯している。総計1390mgの重炭酸土類泉(Mg・Na-HCO3)で成分の量が比較的少ないながら、湯の表現は多彩でしっかりとある。薄緑濁り、甘渋エグ味、土類金気臭(香ばしいかつおぶし臭)と観察した。鉄分が1.2mgであるが色と匂いに良く出ている。木枠の浴槽に木の床で掛け流しになった湯がゆっくりと流れている。良い湯であった。

2 新鹿沢温泉 鹿沢館   75 
 立派な木造入母屋御殿風旅館  湯は紅葉館と同じ源泉
鹿沢の引き湯ながら別温泉地名を名乗る温泉。この新鹿沢温泉で素晴らしい建築が鹿沢館である。昭和9年の創業当時の建築であろう。以前入浴をお願いしたことがあるが、入浴のみは不可であった。今回は雑誌の取材ということで入浴させて頂いた。入母屋の大屋根に千鳥破風の玄関の付いた立派な本館である。窓の欄間や格子が繊細で軒下の飾り金物がレトロである。しかし2階建てとは思えない階高の高さで大きく見える。2階が大きな広間になっているので天井が高いのである。玄関の内部は磨かれた廊下で円形の透かし障子が凝った木組になっている。2階は格天井の大広間で立派な造りである。この建築は1階が玄関で2階が広間という造りで客室は両側に3室ほどである。今は奥の棟が客室になっていて、やや新しい造りである。浴室は新しい造りで御影石造りの内湯のみである。透明、エグ味、少湯の香と観察した。元湯の鹿沢温泉に比べ濁りがなく、匂い、味覚共に減少していた。同じ重炭酸土類泉の源泉である。引き湯のうちに鉄分が析出してしまうと考えられる。しかし掛け流しで利用されており新鮮さは問題ない。立派な建築をこれからもうまく使ってほしいと思う宿であった。
3 嬬恋温泉 つまごい館  (再訪) 75 
 新築になっていた。ヌル湯の掛け流し 
吾妻線の終点、大前駅の隣にある温泉宿。以前は仮設風の簡素な施設であったが、このたび訪問すると新築の奇麗な宿になっていた。吾妻川のほとりにあり、浴室からの川の眺めが美しい。四角い木の内湯と、同じく木の露天風呂がある。35.5度の土類重曹泉(NaMgCa―HCO3)で透明ながら、エグ甘味、香ばしい土類臭と微硫黄臭がある。内湯は少加熱して掛け流しにしている。露天風呂は源泉のままでヌル湯になっていた。総計1830mgながら個性的な源泉でありNa 223(47.1%)Mg 67.5(27%)Ca 97.3(23.6%)と土類系の成分が適度に入っているのが良い。炭酸も141mg含有されているが感じられなかった。しかし源泉のままで利用されており良い使い方である。

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