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2010/12/23 九州 
炭酸泉、長湯の魅力は?膜の張る温泉ほか

1長湯温泉 紅葉館 温泉地再訪   
 ガニ湯の目の前の木造の古い宿 風情はあるが 
 炭酸分がほとんど残っていない  宿泊 


長湯は炭酸を含んだ重炭酸土類泉が各所に湧出し、共同湯や宿の湯も施設ごとに泉質が違い楽しい温泉地である。以前から温泉街の中心にある、川原のガニ湯から正面に見える紅葉館に泊まりたいと思っていた。



この度、最初は新館に通されたが川沿いの旧館を希望して替えてもらい、川に面する旧館の2階に泊まれた。嬉しい限りである。またガニ湯の前に天風庵という道後温泉本館のような立派な木造入母屋の建築が建っていた。食事処ながら宿泊もあるとのこと。ここにも泊まりたいと思った。ガニ湯対岸の青い屋根の入母屋造りの古い木造の宿が紅葉館で、浴室は川の裏側にある。



コンクリートの地元専用共同湯のような簡素な造りの浴室で42.6度の重炭酸土類泉(MgNaCa-HCO3)が湧出している。炭酸(CO2)は少なく144mg(H18年 1040mg)である。緑色濁り(50センチ)エグ味多し+渋味残る、金気土類臭のヌル目の湯であった。



掛け流しであるが炭酸分はほぼ抜けており褐色の重炭酸土類泉になっていた。しかしその泉質も好きなもので、長湯一般の良い温泉である。
2 長湯温泉 ガニ湯共同湯 (再訪)  
 CO2 953.2mgながら湯にはほとんど残っていない 


朝一番で長湯の芹川の中にあるガニ湯共同湯に入浴した。ここは長湯の中心にあり、大湯のような存在なので長湯に来ると必ず入湯している、もう5.6回は入っているであろう。無料開放の露天風呂である。黄色褐色の濁り湯で川の中に突き出して浴槽が造られている。芹川の流れの中、晴天の露天風呂に入浴するのは気持ちが良い。露天風呂の石組は湯の部分が褐色に染まり成分の濃さを物語っている。浴槽の左側に源泉が入れられており、炭酸も同時に湧出しボコボコと湯が出ている。右側から垂れ流されている。



37.8度の重炭酸土類泉(MgNaCa-HCO3)で総計5837mgとかなりの成分含有量である。炭酸CO2は953.2mgである。黄褐色濁り、エグ味、炭酸刺激臭と記録した。湯口は炭酸と共に湧出しているが湯の中には炭酸分が少ししか含有されておらず、ほぼ重炭酸土類泉になっていた。少し上流のラムネ温泉は新館になり、個性的な建築になっていた。最近炭酸分が少なくなっているとのことで、心配である。

3 長湯温泉 榎田共同湯 (再訪)  
 黄褐色 表面膜張り 炭酸は少ないが析出物多し 


榎田温泉は地元専用共同湯でこのたび許可を取って入浴した。鄙びた木造モルタルの建築で、モルタルは汚れ、トタンは錆びていて風格があるというよりはボロである。共同湯特有の湯小屋である。内部も壁が析出物と汚れで汚らしくなっているがこの風情は長年の時間の経過を物語っている。



朝一番で入浴者がいなかったのであろう、湯の表面に膜が張りマグネシウムが主成分の温泉であることが分かる。炭酸分と土類金属成分によって析出物も付き、浴槽の縁は白い石のような析出物で固まっている。ここも温度が高く炭酸分は源泉で気化してしまっているのであろう、炭酸分は少ないが黄褐色濁りで、少エグ味、土類臭と観察した。



しづ香温泉と同系の湯であるが炭酸清涼感は少なく重炭酸土類泉の典型になっていた。浴槽も鄙びており貴重な共同湯である。

4 長湯温泉 山の湯かずよ 温泉地再訪  
 珍湯である 表面に硬い氷のような析出物が張っていた
 割って入浴する。マグネシウムと思われる 


奇麗な和風宿のかずよに訪問した。大きな石で男女を分けた豪快な造りの内湯があった。しかし湯面を見て驚いた。浴槽の6割以上の表面に真っ白い膜が張っている。触ってみると硬い砂糖菓子のようなものであった。



また壁から湯を入れている部分は析出物が鍾乳洞のように固まり、白と茶色のグラデーションを作っていた。また床も黄土色のキャラメルのような析出物で覆われておりつるつるした感触になっていた。



入浴すると表面の膜は割れるが表面に重なって片側に寄るだけで手ですくって見ることもできる。硬い薄氷のような表情でパリパリと割れる。湯は掛け流しで緑褐色の色である。エグ味強く、少金気臭と炭酸臭があった。48度の土類重曹泉(NaMg-HCO3)で総計7108mgもある。長湯最高の濃厚さではないかと思う。



Na 812 Mg 376 Ca 232 HCO3 4460という主成分である。CO2は297mgと少ない。しかし温度が48度もあるので湧出直後にかなりの量が一瞬で抜けるか、またはカルシウムやマグネシウムと一緒になり、炭酸カルシウムなどに析出し分量的には減少していると思われる。



浴槽内部は析出が現在進行中でじゃりじゃりとした突起がある。浴槽の縁は10センチ以上の厚みの析出物で覆われており、析出物の多い温泉特有の浴槽になっていた。



表面の白い膜と析出物の床、源泉の流れる壁が個性的で数多くの写真を撮ってしまった。入浴後は砕氷船で氷が割れたように膜は重なり合いさらに白くなっていた。この後もまた膜の成長が始まるであろう。



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