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郡司が実際に行き、観察・記録した湯について書いています。
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温泉紀行
2016/01/20 中部 
熱川温泉の8か所の温泉1

 

熱川温泉はすごい温泉である。源泉やぐらが連立し湯が豊富に掛け流しされている。

その中で8か所の温泉を巡った。

熱川温泉は東伊豆の海岸に湧出し、その湧出量が多く、また温度が高く強力な熱源を持ったポテンシャルのある温泉地です。約3000mgの弱食塩泉で、特に希なのは街中に温泉の源泉やぐらが林立し温泉が湧出していることです。従って湯けむりの景観が温泉情緒を高めています。国内でも別府鉄輪温泉や小浜温泉のような湯けむりにあふれる景観は珍しいものです。駅から湯けむりの源泉やぐらが見える温泉も他にないと思われます。また温泉地の地形が海に向かって下っているのでどの旅館からも青い海の景観が俯瞰でき美しい温泉地です。現在湯の温度が100度近く、あまりに熱量が多いので使い切れず川や海に流して捨てているのは非常にもったないと思われます。その熱川温泉をどう再生していくかは温泉の使い方であると思われます。温度を下げるために加水してしまうと源泉本来の持っていた微妙な感触が失われます。また温泉は生ビールのように新鮮さが一番です。

 

1     奈良偲の里 玉翠 

熱川駅よりずっと山の上にある温泉宿。各室露天風呂付きの部屋や、貸切の竹林内の露天風呂が2つ、その他に大浴場もある。少し下流にあるけやき坂公園の下にある源泉を使用している。

和風の2階建ての新しい旅館。山の上にあり徒歩30分ほどあるので時間のある方は散歩してくるのも良いであろう。1.2階4室が客室露天風呂付きである。



熱川42号泉を利用しナトリウム-塩化物、硫酸塩泉である。87.7度で成分総計2016mgである。



メタケイ酸を154mg含有し透明、微塩味、無臭である加水掛け流しの使い方が残念である。



宿は風雅な造りで高級旅館である。ただしこのようなカップル貸切形式の宿は現在、非常に数多くできていて競争も激しいと思われます。



完全源泉掛け流しの宿としてほかの宿との差別を計ってゆくと良いと思われます。

 

2    熱川館



海沿いの高層ホテル。4階と5階に展望風呂がある。薄褐色の外壁のビルで割と和風でシックな雰囲気である。



総計2926mgのナトリウム-塩化物、硫酸塩泉で99.5度の高温である。全ての部屋から海の見える絶景の旅館である。



ここも透明、微塩味、無臭であった。良く造られた4ヶ所の貸切風呂と大浴場は露天風呂付きである。四角い御影石の内湯と自然石を組んだ露天風呂が付いている。



ここは浴室棟が別棟になっておりその露天風呂に源泉100パーセントの掛け流し風呂にすると良いと思われます。

 

3 ホテルセタスロイヤル



洋風の白い外壁の高層ビルのホテル。プール付きの海の絶景が見える展望内湯が設置されている。海の展望が美しくこの宿の白眉であろう。



また渡り廊下で裏山に行くと露天風呂があり庭園風の石組浴槽があり、海の眺望もある。ここは大きな浴槽となっているので、小さく分けて湯雨竹を使った源泉掛け流し露天風呂を造ることを提案します。



 

総じて熱川温泉は弱食塩泉であるが、少量でも加水してしまうので塩味が抜けてしまう。源泉が多く湯量豊富な熱川は「湯雨竹」を使って温度を下げ豪快に掛け流しにするのが一番良いと思われる。







4 一柳閣



木造風の外観を持った温泉宿。古い民家のような太い木の外壁は細かい格子がはまっており、木造の建築に見えるが3階まではコンクリートでまた屋根は入母屋の造りで木造である。



 

 

凝った風情のある外観で昔からの老舗を感じる宿である。湯は総計2871mgの食塩泉で99.4度である。



一度全部抜いてから湯に加水しながら浴槽に入れ以後弱く掛け流しにしているやり方である。そのため家族風呂に入浴したが強烈に熱くなっており、さらに加水した。ここは3ヶ所の凝った造りの貸切露天風呂があり良い。



またレトロなモザイクタイルの男湯、女湯もあり家族風呂も1ヶ所あるので計6ヶ所の浴槽がある。



毎分360リットルほどの湯量豊富な源泉を使用しているので「湯雨竹」によって温度を冷まし豪快に掛け流しされることをおすすめする。部屋は和風の古民家のような造りで落ち着いた雰囲気で良いと思われる。



 

熱川の温泉8か所2に続く。

 

 

 

 

 

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2014/04/24 関東 
埼玉の秘湯、都幾川温泉・八塩温泉ほか

1 玉川温泉 湯郷玉川 

林の横にある平屋で一部2階建ての民家のような施設。日帰り温泉で人気があり、10時開店前に着いたが客が並んでいた。

 

 

26.8度のアルカリ性単純温泉で総計172mgという極めて清澄なものである。しかしPH10.1と強アルカリ性である。HS 0.8mg HCO3 29.5mg CO3 28.1mgとなっている。透明、無味、無臭の循環である。



しかしCO3 の28.1mgでツルツルやや強しの良い感触になっている。大きな内湯1つと、露天風呂1つの簡素な造りながら湯の存在感があるので人気なのであろう。地元の人で賑わっていた。

 

2 ときがわ温泉 とき川 

料亭風の平屋の瀟洒な建築。中は浴室が2室と、2間続きの客室が2室の4つだけである。入口の横の林はやまツツジが満開で真っ赤な花が咲いていた。やまぶきとあじさいの2室で昼の部、夜の部2組のみで4組しか入浴できない。そのためこの土曜日の昼の部は1月ばかり前に予約していたものである。



今回はやまぶきになった。6畳と4畳半の個室で和風の清楚な造りである。ここは99年に通販生活でアルカリ性の高い温泉日本一として取り上げたものでPH 11.3で白馬八方温泉とほほ同率一位である。



温泉としてはメタケイ酸規定泉で14.6度の総計219mgのものである。CO347.6mgと濃厚に入っておりOH(水酸化)イオンも16.0mgと多い。



透明、甘味、無臭であるがツルツルが強烈に強くローションのようである。石鹸を使い体を洗うとさらにツルツルが増し、石鹸が取れなくなったように錯覚する。内湯の岩組浴槽が1つで弱く加熱掛け流しにされている。



食事は1品ずつ出てくる懐石薬膳料理で14種類のお品書きのメニューに沿って出された。

 

3 神川温泉 かんなの湯 

ソーラーパネルの屋根のついた近代的な平屋の日帰り温泉センター。26.6度の食塩重曹泉(ナトリウムー炭酸水素、塩化物泉)で総計3053mgである。



 

透明、小エグ味、無臭の源泉が循環されていた。内湯3ヶ所と露天風呂2ヶ所が温泉で大きな浴槽なのですべて循環である。小さくても良いので掛け流し浴槽を造るべきだと思った。



 

4 八塩温泉 神水館 

八塩温泉の老舗、木造3階の本館とコンクリートの2階建ての2つの棟からなっている。コンクリートの棟の方も木造を良く模してあり屋根は木造である。



雰囲気のある和風の外観である。今回は木造3階の棟の3階の部屋で神流川の流れと桜の花の見える良い位置であった。



ここの温泉は総計15.700mgの食塩泉で炭酸も915mg含有しもう少しで含炭酸泉となる。薄褐色で塩味と炭酸味があり、無臭であった。



源泉浴槽が掛け流しであるが湯量が少量なので加温しておらず15.5度のままである。冷温交互入浴となった。



内湯の加温浴槽は加水でほとんど温泉は少量の使用で白湯に近い。露天風呂は混浴で1つである。ここも白湯に近い。冷たい源泉掛け流し浴槽のみが塩分のある炭酸味の効いた源泉を楽しむことができる。



 

1 こだま温泉 こだま温泉ファミリープラザ 

ステンレスの庇の近代的な日帰り温泉センター。30.1度の食塩泉が毎分63リットル湧出し、総計は8200mgと等張性である。



微褐色、塩味、少臭素臭であった。掛け流しと謳っているがオーバーフロー循環である。内湯に3浴槽、露天風呂1浴槽、寝湯1浴槽である。



大きな容積の浴槽が3箇所もあり掛け流しは難しいであろう。小さな浴槽に絞るべきである。

 

 

2 湯楽の里 熊谷店 

線路の間にあるやや行きにくい敷地にある温泉。木造平屋の風雅な造りで36.5度の単純温泉で総計588mgである。重曹系の単純温泉で毎分634リットルも湧出している。



 

 

 

 

 

透明、無味、無臭ながら加温掛け流しで使われており良い。露天風呂は壺風呂4連と小さめな浴槽が2つである。湯を無駄に使うことなく掛け流しにしていた。



 

単に大きな浴槽を作るよりもずっと良いので各地循環の施設は見習って欲しい。内湯は白湯のようだ。





 

 

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2014/04/11 関東 
式根島の温泉と大島の温泉1箇所

1  黒瀬温泉 ホテル白岩 宿泊  4780温泉地  オーバーフロー循環

 

本日の宿泊はホテル白岩にした。独自源泉で離れているのでカウントできるためである。そして入浴のみ不可である。



湯はタイルの内湯と木枠に石張りの露天風呂があった。残念ながら循環であった。湯は総計3740㎎の食塩泉で26.4度の温泉で透明、塩味、無臭の個性は少ないものであった。



湧出量は毎分200リットルあるので一部小さな掛け流し浴槽があれば良いと思われる。翌日は暗いうちに宿を出て6時20分発の船で式根島に行った。



 

式根島

1     足付温泉 再訪  足元湧出

足付温泉は再訪であるが、以前よりも温度が下がり入浴してみると足元の砂地から25度程度の湯がもわもわと緩く自噴しているのが分かった。



浴槽では20度代であろう。水風呂のようであった。以前はヌル目の岩のくぼみであったが、今回は水のように温かった。透明、塩味、無臭で2か所の湯溜りがあった。





2
松が下雅湯  掛け流し

真っ赤な食塩泉で強い強食塩泉が使われている。赤褐色、強塩味、少金気臭であった。



大きな湯船が2つあり、岩と海の景観が美しい。また湯が赤いので存在感がある。地鉈温泉の湯が成熟し赤くなったものと思われる。



有馬温泉のような存在感であった。



3
地鉈温泉 再訪  足元湧出

海に向かって大きな峡谷を、岩に挟まれて下ってゆくアプローチである。海岸に湯が涌いている。



源泉地帯は80度ほどある沸騰している源泉で、まだ透明である。そこから流れだし海水と混じりやや高温になっているところは緑色である、さらに外側になっているところは熟成が進み褐色になっていた。



鉄分を含む源泉の劣化状況がすぐわかる温泉である。湯は強食塩泉で強い塩味である。匂いも香ばしい金気臭があり存在感は抜群である。



湯が熱く入り江が各所にあるので、点々と入浴箇所がある。各所で入浴した。海の背景と岩の屹立でたいへん美しい景観である。



素晴らしい景観の温泉の屈指のものであろう。



4
憩いの家温泉 4781温泉地  掛け流し

地鉈温泉に下る手前に源泉小屋があり、ボーリングしている。その源泉を送っている施設。



湯は鉄分を5.0㎎含有する強食塩泉で74.4度、総計35510㎎である。海水より濃い温泉である。浴槽では薄褐色、強塩味、香ばしい香りとなっていた。



内湯1つのみの簡素な施設でタイル貼りの浴槽である。200円の地元民の浴場であろう。



 

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2013/12/29 関東 
伊豆大島の温泉 

伊豆大島
1御神火温泉  循環
伊豆大島に行った。なんと新島、式根島、神津島、八丈島には行っているが、大島は初上陸である。港からレンタカーを借りて御神火温泉に行く、大きなプール付きの温泉施設で内湯のみである。


大きな内湯と寝湯、うたせ風呂、サウナなどがある。総計2152㎎の食塩泉が毎分200リットル湧出し、温度は34度である。



透明、少塩味、無臭と成分通りの温泉であった。高い天井の大きな空間で広い施設である。入浴料1000円はやや高い。



私は宿泊先より半額券をもらってきたので500円であった。循環が残念である。

2為朝の湯 ホテル赤門  加水循環
源為朝の滞在していた敷地の温泉。赤い立派な門構えがあり由緒ある温泉である。



敷地内に独自源泉があり総計8974㎎の食塩泉で毎分130リットルの湧出量で25度である。しかし加水加温循環で透明、無味、無臭の温泉になっていた。残念である。



四角いタイル内湯と岩組の露天風呂があった。



 

3平成の湯 くるみや 掛け流し 4776温泉地

三角屋根の瀟洒な温泉宿。44.5度の食塩泉で総計6335㎎の源泉が湧出し、掛け流しで利用されている。石張り内湯が1つと離れの石組み露天風呂もある。



たぬきの置物のある内湯で弱いが掛け流しで利用されている。離れの露天風呂は風情の良いもので掛け流しのため透明、塩甘味、無臭であった。



男女が仕切りの下で繋がっており、男湯から掛け流しになり女湯に排水溝があった。やはり掛け流しの温泉は良い。



 

4大島温泉 大島温泉ホテル 掛け流し
三原山の山麓にある景観の良いホテル。昔は海岸近くに温泉がなく大島では唯一の温泉施設であった。



高原の露天風呂があり、三原山の溶岩に覆われた山並みが背景の美しい景観であった。溶岩は真っ黒の色である。750メートルほどの標高の山ながら立派な裾野を持っており立派な山である。



84.2度の単純温泉で総計1034㎎で溶存は899㎎である。カルシウム-重層系で薄黄色、無味、無臭であった。弱い掛け流しで熱い湯を流れ放しにしている。



楕円形の内湯が一つに四角い露天風呂が1つであった。薄黄色の単純温泉は秋の宮温泉の稲住温泉を思い出した。高温の源泉である。



5大島元町温泉 浜の湯 掛け流し
御神火温泉の近くにある露天風呂のみの温泉施設、大きな浴槽が一つで混浴である。男女別の脱衣所があるだけで、その奥に大きな露天風呂があるだけの簡素な施設である。



温泉とは簡素なほど良いというのはここでも言えた。混浴の水着着用の施設であった。入浴するまではあまり期待していなかったが、掛け流しが多く、新鮮で良い印象が残った。



大きな曲線形の露天風呂で46度の湯が中央にどんどん掛け流しになり素晴らしい。湯口近くは熱め適温で、離れると適温になる。景観が絶景で大島の温泉ではここが一番であろう。



伊豆半島がずっと見えて、その奥に富士山も見える(今日は雲に隠れていた)ちょうど夕焼けに合わせて訪問したのでさらに美しかった。



赤く染まった大海原と伊豆半島の海岸線が見えて島の良さが倍増される。湯が新鮮で美しい温泉であった。

 

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2013/09/08 中部 
徒歩11時間、山奥の立山新湯ほか 

1 天涯の湯
14日夕方に室堂から下ってくると沢の水はずいぶん減っており、濁りも薄くなっていた。ここで車中泊して翌日の朝4時出発とした。周囲はまだ暗い、しかし今日は最奥部の新湯まで行き立山温泉跡で野営するという強行軍である。


行きの登りは白岩堰堤まで9㎞そこから立山温泉跡まで4㎞程度、そして新湯まで7㎞ほどある、つまり登り20㎞、下り7㎞合計27kmほどは歩かないといけない。



結局新湯を往復してテント場まで帰り着いたのは17時過ぎていたので13時間ほどかかったことになる。とにかく情報が少なく、行き方がわからない。



白岩堰堤までも1つのわながあった。林道は3キロほど行くと行き止まりになり、進もうとすると藪漕ぎになる。そこでひらめいたのがトロッコのトンネル経由である。これが正解であった。トンネルを出ると立派な林道が続いていた。



ここをひたすら登る。とにかく長い、いやになってくる頃、左右の沢の斜面が迫ってきて壮大な白岩堰堤が見えてきた。右側に廃道に近いジグザグ道があるが苦労して登ると堰堤の下で終わっていた。結局ここからインクラインの階段を上り堰堤の上に到達した。



ここから折立から来る良い道になり快適に進むと橋の先に東屋が見えてきた。ここが天涯の湯であった。開放的な露天風呂で男湯と女湯、足湯がある。男湯、女湯ともに大きな岩組の露天風呂で内湯は無い。湯は57.9度の単純温泉で総計694㎎である。土類重層系であるが透明、無味、無臭で個性はない。熱い湯で少加水して入浴した。この源泉は立山温泉との間にある泥谷温泉の2本の源泉からの引き湯とのこと。湯の個性よりもまさに名前の通り天涯の果ての温泉である。ここに入浴できて感慨深い。

2立山新湯
今回の温泉行きの目的地でもあり、行き方も良く分からずにアタックするという不安もあり、また立山温泉跡からの距離もあるという難関の温泉である。昨日、砂防博物館で地図や模型を見た時に新湯の位置を確認して、これは遠すぎる。自殺行為に近いのではと強い不安に落とし込まれた温泉である。



模型などで見るとほぼ北アルプスの稜線に近く、果てしない先に位置していた。室堂の横に位置し相当標高は高いと思われた。ザラ峠からの下降もあるがガレが激しく滑落の危険が伴う、松尾峠からの下降もあるがひどい難路であるという。



そのため、とにかく湯の沢を遡上するという一念を持って行った。まず天涯の湯から立山温泉跡までの道が迷った。30分ほど歩いてから林道が急に廃道に近くなってきて、ここは違うということになって、一度天涯の湯まで戻り、良い道の湯の沢トンネルを越えて歩き出した。しかし湯の沢から余りにも離れるのがおかしいと気が付き、戻って再度、同じ廃道を登って行った。



途中から車道は無くなり歩道になる。一度赤い橋まで行ったがここも違うとわかり、また戻り、歩道幅の階段を上ってゆく。不安とともにしばらく行くと、白い噴気が見え、いろいろなホームページに載っていた,噴気塔が発見できた。



これを経由して新湯に行くので勇気づいた。しかしここからの道は急登で、私は急にバテて、これでは新湯まで行けないのではないかと、根を上げた。体力の限界に近付いており、52歳の体には厳しくこたえ始めた。



すると20分ほどであっけなく舗装路に突き当たった。これが折立から来る車道であることは間違いない。ほどなくとりあえずの目標にしてきた、立山温泉跡に到着した。ここの慰霊塔に花を奉り、後ろの東屋に非常食、カメラなどアタック用の荷物以外のテントや寝袋、コッヘルなど重いものを下した。軽装で往復するのである。



川原は工事の中心地なのであろう、広く開削されており、道も生コン車が通れるほどである。しかしだんだんと登ってゆくと道路の中心部が大きく亀裂になっており、濁流が流れてきた。昨日の大雨の傷跡であろう。大きなコンクリートの堰堤をいくつか超えると、ついに新湯の、湯の沢の沢登りになる。



少々行くと、先人の付けたピンクテープが右側に見えたので沢を1回徒渉しただけで荒れた登山道に入った。これが正解で、何度も徒渉を繰り返し堰堤を巻いていたら激しく消耗していただろう。草付きの中をどんどん登るがかなり疲労困憊になってきて、GPSを持っている同行者の佐藤氏に、たびたび「あと何メートル」か聞く。最初は1250mであったのでかなり勇気づいたが、疲れが極みに達してきて、800m、450m。230mと何度もうるさいほどに距離を聞いた。

古い堰堤のところにはロープが設置されていて安心する。最後に急登するとなんと新湯の上の源泉池のほとりに立っていた。青緑色の湯気に包まれた源泉池は神秘的で、沸騰しているのがわかる。ここで入浴できたら最高であるが65度から70度以上とのことで断念し、写真を撮ってまた下って行った。


沢に一度降りて、川の中をトラバースしながら100mほど登ると、湯の小沢があり、ここまでの苦労が報われる温泉がその上にあると思うと感動した。湯沢を登ってゆくと崖の上を湯が流れている光景が見えてきた。

その下に土嚢で積まれた小さな湯溜りがあった。スコップで底をさらい、深くして入浴した。日本でも有数の超秘境の温泉であろう。やっと行くことができた。43度前後の熱めの湯で酸性泉であろうか透明、酸味、微硫黄臭であった。


単純酸性泉だと推測する。直角に上部から湯が流れてくるので打たせ湯もできる。上部はカムイワッカの滝のようにナメ滝になっていた。

3立山温泉跡 野湯3か所 ケーシング1か所
立山新湯からの下りは快適であった。一度通った道を下るのは、行き先のわからない登りに比べて精神的にもそうとう楽である。ほどなく林道に出る前に、熊に遭遇した。私の2mほど前を過ぎ去り右横に止まっている。



私は同行者に告げ、早々と逃げ去ったが、その友人は写真を撮っていた。林道に出るとだらだら下りで楽である。立山温泉跡のキャンプ地に17時頃到着した。今日中に立山温泉跡も入浴してしまおうと源泉案内地図看板通り、橋を渡る。



川沿いに3か所の湧出があり橋の上からも湧出しているのが見える。湯量豊富である。3か所の源泉湧出口から湯の流れが川に流れている。それぞれ毎分120リットルほどはあるであろう。



橋を渡り階段を下ると源泉地帯に出た。塩ビパイプからの湧出もあり、透明、無味、無臭であるが劇熱である。70度ほどであろう。高温の単純温泉だと推測した。熱くて入浴不可能なので川に入り、温泉と流れの合流地点で腰までの入浴をした。



一応3か所とも入浴しておいた。河岸に直径80センチほどのケーシングがあり底から温泉が湧出していた。適温の足元湧出ケーシングで浅く腰上くらいの深さである、しかし41度くらいの良い温度であった。



ここにも入浴した。3か所の劇熱湧出口はスコップやブルーシートなどで加工すれば快適な浴槽を造ることも可能であろうが時間が掛かるので川の合流地点で済ました。

24.8.16
1護天涯の噴気温泉
60度以上の噴気が沢沿いにあり、5mくらい噴出している。触ると熱く噴き上げた温泉が雨のように降ってくるところでは浴びることができる。



立山温泉の下流500mほどなので泉質もほぼ同系で透明、無味、無臭の単純温泉であろう。PH8.2 EC 1.2であった。景観の良い沢を眺める良い地点にあり、浴びている写真も絵になった。



2泥谷の湯(湯川谷6号泉)
山道から廃道の林道に出てからすぐにクランク状の道になるがその奥にピンクテープがあり温泉地の泥谷温泉の位置と一致していたので行ってみた。



藪を50mも行くと沢に小さな流れがあり、温度もあった。透明、少えぐ味、無臭で31.5度 PH 8.2 EC 0.5であった。小さな湯溜りをスコップで造って尻浴とした。まあやや暖かい湯であった。近くのピンクテープには湯川谷6号泉と書いてあった。



3天涯の湯
帰りに天涯の湯に寄った。透明、無味、無臭の単純温泉であるが肩まで着かれる湯は良いものだ。洗髪し、さっぱりした。するとここの湯守りのおじさんが現れた。特に指摘は受けなかったが入って行けということで入浴できた。



昨日来た時にはなかった浴槽の栓を抜き、カラにして帰った。この後重要文化財の白岩堰堤を見学し、階段で林道まで下り長い林道を下った。





 

 

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