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2011/11/19 関東 
塩原元湯の間欠泉と那須の名湯 2か所

1塩原元湯(ゑびす屋) 

塩原元湯で大出館の下にある温泉宿である。炭酸を含む重曹食塩泉が湧出し、ヌル湯の梶原の湯源泉と間欠泉で高温の弘法の湯源泉の2本がある。弘法の湯源泉は驚異的に析出物が付着し、湧出口の下はたぬきの腹のような大きな玉が出来ている。掛け流しの床にもうろこ状に析出物が付き壮観である。

 

一時は析出物が浴槽の壁に付着して非常に狭くなってしまったので削ったことがあると聞いた。木造の湯小屋で混浴である。この弘法の湯源泉は約5分おきにドーッと湧出して豪快に浴槽に注がれる。夏の時期だと熱くて少量加水しないと激熱であった。

 

弘法の湯源泉は52.1度で白濁し、塩エグ味と弱い炭酸味がある。HS 17.8 H2S 40.3mgと硫黄含有量も多い。CO2は498.7mgである。この炭酸分とカルシウムが多量の析出物になるのである。含硫黄重曹食塩泉(S-Na-Cl、HCO3)である。

 

ヌル湯の梶原の湯は塩原最古の源泉と記され薄く白濁した湯で温度も39.7度とヌルメの湯である。炭酸味とたまご味が混ざった味覚で硫黄臭は弱い。HS 7.8 H2S 27.9mgでCO2は635mgである。こちらは食塩よりも重曹が多く、含硫黄食塩重曹泉(S-NaCa-HCO3,Cl)である。入浴客はみな梶原の湯に入っていた。

 

 

2板室温泉(加登屋本館)  

板室温泉は以前幸の湯温泉に宿泊したことがあるが、離れていて別温泉名のため別カウントしていた。板室温泉は日帰り温泉施設のグリーングリーンでカウントした。個性のないきれいな湯で特に記憶に残るものではなかった。ただ綱の湯という綱が下げてある浴槽があってここに捕まりながら長湯をするという伝統があると聞いた。

 

この板室温泉は奥に温泉街があって木造3階建ての宿もある。加登屋本館だけになってしまったが風格のある建築であった。細い道に面して欄干のある2階と3階の窓が並ぶ木造3階の宿は好きである。日本温泉建築の本来の姿であった。

 

この本館は日帰り入浴不可で、別館のほうの御主人にお願いして入浴させていただいた。こちらの古い木造宿の1階にある小さなタイル浴槽がよかった。38.7度の源泉と44.9度の源泉があり、44度のほうが掛け流しで使われていた。

 

透明、無味、無臭のきれいなアルカリ性単純泉で個性のない清澄な湯であった。小さな渓流に沿った浴室で窓から流れが見える。湯量も豊富で床に湯が溢れて流れている。板室温泉は栃木の薬湯といわれる療養の名湯である。療養で有名な温泉はこのように透明、無味、無臭のことが多いのが不思議である。

 

3那須北温泉 泊   

那須塩原方面への温泉行きの目的は、北温泉に泊まろうと思ったことがきっかけである。古い宿で江戸時代築が7500円、明治築が8500円、昭和築が9500円と決まっていてかなり安い料金である。この古い宿にゆっくりと泊まり、翌朝も遅く起きてゆっくりしようと思い今回の再訪ばかりの旅を思いついた。

 

明治築の部屋に泊まった。北温泉は湯量豊富で、宿の裏にみえる崖に源泉が滝のように流れ出しているのが素晴らしい温泉である。浴室は4箇所にありそのうち1箇所は女性専用で芽の湯と命名されている。

 

露天風呂は大きな円形の浴槽が一つのみの簡素なもので川に沿って造られ河原の湯と呼ばれている。巨大な堰堤が見え、下にはその下流の川が眺められる。混浴の内湯が天狗の湯と打たせ湯があり、大湯量が掛け流しになっている。家族湯も付いている。玄関前には共同湯のような小さな木造の湯小屋造りの外湯(相の湯)がありさらに庭先には泳ぎ湯という大プールがある。

 

湯量豊富な単純泉で透明、少金気味、無臭である。天狗の湯は掛け流しが多量で縁から溢れている。湯温度が高いので少量加水しているが新鮮さには問題ない程度である。

 

 

 

4大丸温泉    

大丸温泉の湯の川は素晴らしい。何度も来ているが圧倒的な湯の量と、綺麗に澄んだ川底が美しく、国内でも屈指の名湯であろう。78.6度の単純泉で総計897mgである。濁っておらず綺麗な湯である。芒硝石膏系(CaNa―SO4)で透明、無味、無臭である。

 

男湯の内湯から出たところにある湯の川が大きく池のようになっており上から渓流のように湯が流れてきている。この大きな浴槽は足元から高温の温泉が湧出しており、上から流れてくる湯と合わさり適温になっている。

 

玉砂利が敷かれていて日光に反射してきらきらと光り美しい。白樺の湯と命名されている。さらに上流には両側が迫り渓谷のようになった浴槽がある。そして小さな滝が急な流れになった先には、一段上にまた池のような露天風呂になっている。さらに上流は女性専用浴槽であった。

 

川全体が温泉で大きく3箇所の混浴露天風呂があった。宿は新築になっており、綺麗な和風旅館である。風情のある造りで女性に好まれるだろう。

 

5弁天温泉   

弁天温泉はひっそりと奥まったところに建つ一軒宿で、やや古びた旅館である。大きな内湯と混浴の露天風呂が5箇所あり樽風呂や陶器の壷風呂、鉄の釜風呂のほかに石積みの露天風呂が2つある。

 

総計912mgの単純泉で48度の源泉である。かなり昔に訪問したきりになっていたが、変らずに存在していた。濁った湯も同じである。毎分210リットルと湧出量も豊富である。宿の奥の崖から温泉が湧出している穴があり、金気分のために濃い褐色の析出物が溜まっていた。

 

そのほか敷地内で4箇所の源泉があるとのことである。湯は鉄分のために薄白濁しており鉄渋味と金気臭である。Feは1.0mgであるが新鮮な状態ではもっと多く感じる。コンクリートの浴槽の内湯はうっすらと白濁しており湯の存在感は単純泉と思えないほどである。

 

 

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