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2013/05/26 九州 
湯の児、小浜、雲仙 ほか九州温泉道

1 湯の児温泉 山海館  80

本日はずっと南下して水俣の湯の児温泉まで行って宿泊した。山海館の磯館に部屋を指定した。木造5階建ての豪快な建築で514号室からは美しい湯の児湾と瓦葺の立派な屋根が窓からの美しい景観になっている。



透かし格子の意匠は竹と蔦である。翌日にはほかの各室の内装も見学させてもらい微妙に違う透かし格子や丸窓などの意匠が楽しかった。他には幾何学模様や松と鷹などがあった。



木造の大きな建築で内部の旅館建築に特有な凝った意匠は素晴らしいものである。私の近著「究極の温泉」でも取り上げた宿である。



ギヤマン風呂

海側から建築を眺めると大きな破風が重なりお城のようである。1階の玄関は唐破風で3階に千鳥破風が2つ、4階に千鳥破風が3つある。私は木造の古い旅館建築の宿が大好きである。



湯は52.3度の重層泉で毎分156リットルの湧出量である。総計2064㎎で透明、少エグ味、無臭であった。大洞窟風呂が有名で手掘りの長い洞窟のある浴室である。



湯口には狸の腹のように球状になった析出物が付着している。浴槽部分も壁から約10センチの析出物が付きざらざらとしていた。17.5㎎ながら炭酸を含有しているので長い時間で炭酸カルシウムになって析出するのであろう。



隣の昇陽館の洞窟風呂も析出物で覆われている。日頃女湯のギヤマン風呂は時間で男湯にもなり浴室の一面が繊細なステンドグラスになっている。



大きなもので女性が描かれていた。小さな家族湯にも入浴したがタイル貼りの浴槽で析出物は無かった。



家族風呂

 

2弓ヶ浜温泉 湯楽亭  85

天草を経由してフェリーで雲仙に行く計画とした。途中の大矢野島にある弓ヶ浜温泉は良い温泉が湧出している。白い壁が蔵のような造りの外観の宿である。



総計988㎎の32.3度の単純温泉が白湯と命名されており、総計10104㎎の46.9度の重層食塩泉が赤湯と呼ばれている。この赤湯が素晴らしい。炭酸を601.8㎎含有していて味覚にはっきりと塩炭酸味が する。



湯口からは炭酸の気化するぼこぼこといった音が聞こえ炭酸の含有がわかる。温度が高いのですぐ抜けてしまうという長湯などとも同じ状況であるが、実際には湧出直後では1000㎎以上の含有量はあると思われる。



味覚での炭酸味が濃く残っている。白湯は内湯に2つの浴槽があり、赤湯は四角い内湯と2つの露天風呂と山海館のような岩の洞窟風呂がある。析出物が多く浴槽は10センチほどの析出物で壁も底も覆われていた。



内湯の湯口は析出物で丸くなりうろこのような床になっている。国内でも屈指の析出物であろう。析出物で造った高さ1メートルほどの招き猫が2体あった。



黄色薄濁り、塩炭酸味、金気炭酸臭であった。ここは10年ほど前に通販生活で取材したことがあるがそのころは鉄分が多く赤い湯であった。突然変異のような良い源泉が湧出している温泉である。



3小浜温泉 雲仙荘  80

フェリーで島原半島に渡り、口の津から海岸を走り小浜温泉に行く。雲仙荘は大きなビルディングのホテルである。



小浜温泉は高温の食塩泉が大量に湧出して湯けむりが各所に上がっていて別府の鉄輪温泉のようである。なんと98.2度の食塩泉で総計9364㎎である。



指宿と同じくらいの等調性の源泉で透明、塩スープ味、少噴気臭である。



このホテルは別府の斎藤氏開発の湯雨竹を利用して温度を下げ掛け流しにしている、小浜でも唯一の宿であり素晴らしい。



内湯と露天風呂が屋上にある。湯雨竹によって小浜温泉では珍しく加水なしで掛け流しにしている。噴気臭もあり良い温泉であった。

 

4小浜温泉 脇浜共同湯   80

風情のある鄙びた共同湯。木造の大きな建物であるが天井が高い平屋である。木造下見板の外壁が退職して褐色に変わり良い雰囲気になっている。



建物も古くやや傾いているような感じも良い。小さな千鳥破風の付いた男女別の入口から入る。妻側からがエントランスである。



大きな浴室の中央に四角い内湯が2つだけの共同湯で、天井が高く湯気抜きが付いている。コンクリートの縁に底は青緑のタイルである。浴室の手前にある木製の内装の脱衣場は白壁に黒い柱で、木製の脱衣箱が古さを感じさせている。



大事に守ってほしい温泉である。湯は透明、塩スープ味、無臭で高温のために湯口で少々加水して適温やや熱めになっている。食塩泉で暖まりの湯である。少加水掛け流しである。



5小浜温泉 春陽館   80

小浜温泉で最も立派な外観を誇る老舗宿。木造3階の建築はエントランスが唐破風で両側と中央に入母屋の屋根が3つ付いた豪快な立面である。小浜温泉第一の壮観であろう。



玄関は唐破風の立派な車止めが付いており。屋根は緑青の青い銅製である。壁は木貼りの腰と柿色の壁である。浴室は1階と2階および屋上にある。



1階の浴室に入ったが広い半露天風呂で大きな曲線の浴槽であった。湯は少加水である。99.6度の食塩泉で総計9160㎎の小浜特有の高温泉である。



透明、塩味やや薄い、無臭であった。ここも湯雨竹を使うと良いと思われた。



6 雲仙温泉 有明ホテル  80

雲仙の新湯地区に点在するリゾートホテルの老舗。明治37年の創業で、以来110年ほど営業されている。雲仙観光ホテルが国指定文化財の建築であるが、こちらは改築されておりコンクリートのホテルになっている。



洋風瓦のしゃれたホテルで格式は感じられる。有明と書いてゆうめいと読む「ゆうめいホテル」が正式であった。



清七地獄源泉で92度(分析表では76度)の温度の酸性緑礬泉(H-Fe-SO4)である。加水掛け流しとしている。加水しても源泉の良さは損なわれず透明、酸味強し、少硫黄臭であった。



特記成分は水素イオン(H)4.0㎎ 鉄イオン(Fe)22㎎ 遊離硫化水素(H2S)1.4㎎である。総計769㎎なので分析表は間違いで単純酸性泉であると思われる。



曲線の長い内湯浴槽と岩組の小さな露天風呂があった。個性的なのは酸味がかなりあったことである。いわき旅館よりも酸味が強かった。硫黄分は少なく白濁していない。

 

7 雲仙温泉 いわき旅館  85

雲仙の地獄地帯の噴気の中を道路で通過して古湯地区に行く。地獄地帯のすぐ隣にある小さな瀟洒な温泉宿。この地区は建築のファサード(外観)を統一して街並みの修景運動が行われており、以前訪問した時に比べて瀟洒な佇まいになっていた。



古湯地区の各温泉宿、店舗などはほとんどリニュウアルを完了しており観光地としての前向きな頑張りが伝わってきた。



この旅館は自家源泉で48度の含硫黄明礬泉(S―Al―SO4)が毎分280リットル湧出しており、掛け流しで利用されていた。



総計は1930㎎である。また以前入浴したが、露天風呂付きの部屋も掛け流しである。日帰り温泉は内湯が1つの簡素な施設で四角い石造りの浴槽がある。



湯は水素イオンが分析表に載っておらず酸性泉ではないがPH2.4で酸味を感じる。白濁、酸味、硫黄臭であった。硫黄分はH2Sの3.4㎎で白濁の原因である。敷地内より湧出した源泉を掛け流しにしているのは雲仙でもこの宿1軒だけであると明記されていた。



48度の温度が最適なのであろう。良い温泉であった。

 

8 雲仙小地獄温泉 小地獄温泉館   80

この小地獄温泉の共同湯に以前訪問したのは、古い建物の時だったのでこの度、再訪するのは20年近く経っているのだろう。



今回改築された建築は木造の平屋で浴室の位置には八角形の建物が2つ並んでいる。すでに古さを感じるだけの風格が出てきている。ここの湯は雲仙でも酸性が弱くPH3.85である。味覚でも酸味を感じなかった。



63.5度の単純硫黄泉で総計425㎎である。水素イオン(H)0.1㎎である。遊離硫化水素(H2S)が3.5㎎で美しい濃い白濁の湯になっている。



白濁、甘味、焦げ硫黄臭と観察した。内湯のみの施設で石造りの浴槽が2つに仕切られていた。片方の広いほうは熱湯で小さい方が適温なのでほとんどの人が小さい方に入浴していた。



 

 

 

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