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2012/06/17 東北 

鳴子の秘湯、野湯、仮設、炭酸泉

1      東鳴子温泉 なんぶ屋

鳴子御殿湯駅からすぐの温泉。初音温泉の隣にある。今まで入浴していなかったので訪問してみた。東鳴子共同源泉の新井2号、新井5号、唐竹沢源泉、動力源泉の4本の混合である。



71.5度のNa-HCO3、Cl、SO4で総計1449mgの温泉である。内湯と露天風呂がある。透明微黄色、無味、微油臭であった。よわいつるつるがあった。ただし鳴子にあって珍しい循環、殺菌であった。残念である。



2      鳴子温泉 大畑共同湯

鳴子温泉の川向にある地元専用共同湯。コンクリートの鄙びた外観の建物で国道沿いにある。コンクリートの浴槽が1つのみの簡素な施設で分析表はなかったが芒硝泉であろう。



熱い湯で豪快に出ているので、弱く加水されていた。透明、少芒硝味、無臭と観察した。



3 轟温泉 目の湯

NO4地獄に行ったが温泉が出ておらず、しばらく使われていないようであった。帰りに轟温泉の前にある目の湯に行った。日帰り温泉施設で小さな施設である。



内湯の四角いタイル浴槽と石組露天風呂があった。溶存物質760mgの単純泉で重曹食塩系である。透明、無味、無臭の掛け流しであった。ややつるつる感を感じる湯であった。



4 中山平温泉 玉鳴号工場専用温泉

中山平で温泉を使って日本酒を造っている。またその水をペットボトルに詰めミネラルウォーターとして売っている。なんとその工場の源泉に入浴することができた。



40度ほどの源泉は大量に湧出しており、数年使われていなかったコンクリートの露天風呂を掃除して湯を張り入浴した。ミネラルウォーターとして販売するほどの温泉なのでまったくの透明、無味、無臭のきれいな湯で弱いすべすべ感があった。社長さんの特別許可でレアな体験をすることができた。



5 中山平温泉 しんとろの湯

しんとろの湯は良かった。国道に沿った日帰り施設で93度という高温の源泉を加水することなく源泉100%で使っている。そのために裏手には長い木の樋がありそこをゆっくり流して冷ましている。中山平の源泉は温度が高く、充分に硫黄分を含有し、炭酸イオンによるつるつるがある良い湯である。



このしんとろの湯はそれら全てを生かしておりつるつるの硫黄臭のある湯が使われていた。薄白濁、たまご味+少エグ味、硫黄臭と観察した。つるつるはかなり強く中山平の中でも屈指であろう。一枚皮が付いたようなヌルヌル感は良い感触である。



硫黄分はHSの16.4mg S2O3の5.9mg H2Sの0.6mgである。陰イオンの重量パーセントのトップはCO3の105.3mgで31%である。含硫黄重曹泉になっているが含硫黄炭酸ナトリウム泉と称するべきであろう。中山平の素晴らしい個性を充分に発揮した温泉であった。



6 鳴子温泉 姥の湯

姥の湯に宿泊した。この旅館は4つの源泉があり硫黄泉と重曹泉、芒硝泉、単純泉とある。硫黄泉は小さな木造の湯小屋で硫黄臭のある白濁した湯である。



重曹泉は露天風呂に使われ金気臭のある湯であった。芒硝泉は宿泊者専用風呂に使われやや甘味をもった温泉で重曹と芒硝がほとんど同量ですこし芒硝が多くなっているものである。



単純泉の浴槽もある。鳴響という音楽イベントにトークショウで出演した。





7 鳴子温泉 すがわら仮設風呂、大浴場

旅館すがわらの屋上に仮設の露天風呂ができた。家庭用の桶風呂とヒノキ風呂が置いてありすがわらの源泉が入れられていた。透明、無味、無臭だがつるつるした湯で仮設の雰囲気がよかった。



大浴場は今日も青味がかった色でなかなか良い。メタ珪酸498mgを誇る湯で青くなるが、私が行くといつも青くうれしい。



8 潟沼温泉 天然沼に入浴 足元湧出

潟沼は直径800mほどの湖で酸性度が強く、なめると酸味が強い。レストハウスの前で地震の奉納演奏がされており日曜日の唯一のイベントである。対岸に湯が比較的多く湧出していて暖かいところがあるというのでボートで行ってみた。



湯の色は藻の作用なのか濃い緑色で美しい。ところによっては黄色のところもあり変化がある。東屋と竜神様の鳥居のまえあたりの湖畔には沼の中から温泉が湧出していて、あちこちで気泡が立ち登っている。足を入れてみると30度くらいの温度の湧出で水温は27度ほどになっていた。



酸味も強く酸性泉であることは間違いなく、またたまご味も硫黄臭もあるので硫黄分も含有しているであろう。湖畔で入浴した。



9 鳴子サンハイツ温泉 リゾート会員専用温泉

大きなコンクリートのリゾートホテルで会員専用の施設である。知り合いのコネで入浴することができた。緑の山々を見渡せる高台にある露天風呂の眺望が良かった。



透明、無味、無臭の単純泉で58.3度 総計394mgの個性の無い湯であった。タイルの四角い内湯と石張りの露天風呂の施設であった。





10 東鳴子温泉 田中旅館

油臭の黒湯の名湯「田中温泉」が今年09年6月で休業してしまうというのでまた再訪した。黒湯は小さな勾玉風の浴槽に入っており、メインの円形の浴槽の湯は白濁していた。



田中温泉で白濁しているのは初めてでよく観察したが硫黄分からの白濁のようだ。よわい油臭はあり硫黄臭はない。しかしよわいたまご味があり、そのためであろう白濁していた。





11 鳴子温泉 福の湯

鳴子温泉には炭酸泉と放射能泉だけないと思っていたが、炭酸泉はあるという。そこで鳴子駅の川の対岸にある福の湯を訪問した。38.3度の大畑1号泉で総計1261mgであるがガス成分は除いてある。



CO2-CaNa-HCO3泉で含炭酸重炭酸土類泉である。CO2(炭酸)は1221mgで立派な炭酸泉である。浴槽での使われ方も良く、湯の中から湧出させている。気泡とともに湧出し身体に泡がつくし、飲むと炭酸清涼味がする。木の浴槽で茶色に染まり、七里田温泉下湯のような雰囲気が出ていた。



ほかの内湯と露天風呂は循環でだめであるがこの炭酸泉浴槽だけは掛け流しで良い。これで鳴子には放射能泉以外はすべてあることになった。

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横向温泉とくろがね小屋 

1押立温泉 山形屋

23日は表磐梯の押立温泉に行きました。押立温泉はどの宿に入浴しようか迷ったが奥の山形屋に入浴した。木造の茅葺き屋根の上にトタンを張った古い宿。浴室は改修されきれいになっていた。



現在は元の源泉ではなくリゾート開発で掘削された湯を引いていた。タイル貼りの浴槽に透明、無味、無臭のきれいな湯が掛け流しで利用されていた。元の源泉は手前に湯溜まりがあり、現在でも出ている。



小さな浴槽は泥で埋まり入浴不能であったが足を入れてみると腰まで潜る。泥の中に足を沈め源泉でも入浴した。30度ほどの源泉温度であった。分析表では含重曹弱食塩泉で47.5度となっている。透明茶色の泥が溜まる、



少塩味+金気味、少金気臭であった。以前はこちらを加熱して使っていたそうだ。以前に訪問したときにはこちらの源泉であっただろう。写真は旧源泉に入浴中。



2横向温泉 滝川屋

玄関脇にお寺のような立派な湯治棟が建つ宿。古いまま残されていて好感した。湯は土類重曹泉だろう分析表は見なかった。自噴の源泉で男湯は足元からも沸いているとのこと。





女湯は別源泉でややヌル目であった。オフ会は37人もの出席で皆様ご参加ありがとうございました。









3岳温泉元湯 くろがね小屋

岳温泉の湯元であるくろがね小屋に登った。湯は岳温泉と同じであるが、私のカウント方法では離れているので1つカウントできる。日ごろの運動不足解消もあわせてくろがね小屋にハイキングしてきた。





曾遊の奥岳温泉の横はスキー場の駐車場でここで車を降りる。最初は砂利の深い林道で渓流を渡ると
尾根に向けて登り始める。階段状の登りで疲れたが1時間ほどで勢至平という尾根に出てあとは緩やかな登りであった。



雪を残したくろがね山の直下にくろがね小屋はあった。登り1時間45分であった。湯は酸性泉で51度pH2.48の源泉である。硫黄分は記載されていないがかなり含有されているであろう。


分析表は析出後の分析であろう。推測だがH2S 10mgほどだと思う。湯は多量の硫黄沈殿物があり入浴すると真っ白に白濁する。酸味とたまご味があり、弱い硫黄臭がある。木製の小さな浴槽で掛け流しであった。
水素イオンHが3.2mgで個性のほとんどを占めている。このくろがね小屋の上部が源泉地帯で数ヶ所から湯を引いて太いパイプで岳温泉に送湯していた。かなりの高温で途中の枡で入浴を試みた同行者は絞り掛けるだけで入浴は不可能であった。

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2012/06/03 東北 

八九郎温泉と鳴子の秘湯

1奥奥八九郎温泉

奥奥八九郎温泉は以前、石油を掘ろうと掘削したところ温泉が湧出しそのままになっている野湯である。5年も前は知る人ぞ知る秘湯であったが、最近はいろいろのメディアで紹介され有名になった。



源泉は炭酸がジャグジーのように湧出している源泉穴があり、その地点と周囲に4ヶ所の浴槽があり入浴できる。1月下旬でも除雪されていて前まで行ける。



まさに源泉直接の足元湧出源泉である。色は透明ながら赤い析出物が多量に付着し沈殿しているので、入浴して掻き混ぜると赤褐色の湯の色になります。炭酸エグ味、炭酸金気臭と観察した。



泉質は含炭酸食塩重炭酸土類泉と推測した。源泉の浴槽はやや熱目で周囲の浴槽で適温である。源泉の周囲はうろこ状の析出物で台地のようになっており、その上を湯が流れ去っている。奇麗な表情なので写真をたくさん撮った。



2八九郎温泉

手前にある八九郎温泉はテントが掛けられ男女別になって小さな共同湯のように整備されていた。湯は源泉から2つの浴槽に分けて流されているが湧出量が多く、大量の掛け流しになっていた。



3東鳴子温泉 いさぜん旅館

東鳴子温泉でまだ未湯で残っていた温泉。浴室は混浴で鉄鉱泉と炭酸泉と書かれている。鉄鉱泉は57.2度の食塩重曹泉で総計1723mgのものである。



薄褐色、エグ味、少油臭ありという源泉であった。炭酸泉は44.1度の純重曹泉で総計1042mgのものである。微褐色、少エグ味、少たまご味、微硫黄臭と観察した。ともに鉄分や炭酸分があるわけではなかった。



4鳴子温泉 ホテル亀屋 宿泊

鳴子の入口で車湯と呼ばれている亀屋に泊まった。二見の湯源泉が使われており、大きなホテルである。78.2度の食塩重曹泉で総計1964.1mgである。



湯は東鳴子の黒い油臭のある源泉に似ており黒褐色透明、エグ味と辛味あり、油臭と観察した。匂いが個性的である。いさぜん旅館の鉄鉱泉に近似していると思った。



5鬼首温泉 荒湯地獄野湯

翌日は鳴子温泉に行き、荒湯地獄に入浴した。道路は神滝温泉横の蟹沢から林道を上がってゆく、夏は鬼首からの広い道路が良いアプローチだが、冬は未舗装の林道のほうが除雪される。



地獄が俯瞰できる上からの沢沿いに下っていった。雪が深くカンジキを履いて行った。硫化水素臭の多い地獄地帯から湧出した温泉が川になり一部堰きとめてあって入浴できる。湯に触れられる場所に着いて温度を測ってみると75度である。源泉からは300mほど下っているが、まだ温度が高い。



その下流に一つ目の浴槽が造ってある。ここでは47度でまだ熱い。その下の浴槽が43度で入浴できた。気温は雪交じりのマイナス3度ながらロケで入浴時間が長かったのでのぼせそうになった。



酸性泉であろう透明、酸味、少硫黄臭である。湯は白濁しておらず、硫黄分は少ない、酸性泉または明礬緑礬泉であろう、川全体が温泉というロケーションで冬にでも入浴できるという素晴らしい温泉である。



ただし地獄の源泉湧出部は危険である。硫化水素ガスも多く、足元が崩れやすくズボ抜けで大火傷になりそうである。下流の沢筋で入浴し、上部の源泉噴気地帯の立ち入りは危険である。



6鳴子温泉 早稲田桟敷湯

黄色いモルタルで塗りこめた現代建築で、鳴子駅の近くにある共同湯である。早稲田大学の学生が戦後掘削し、湧出した温泉を共同湯として利用されてきたが、建築家の石山修武の設計で新築された。2つの建築が微妙にずらして建築され、平行の部分がなく鋭角の隙間からアプローチするという設計である。浴室は吹き抜けの大きな空間で浴槽の横に源泉の樋がありゆっくりとした掛け流しになっている。湯は98度の含硫黄食塩芒硝泉で総計1241mgである。S2O3 2.7mg H2S 1.4mgの含有量である。透明、たまご味+少苦味、微硫黄臭と観察した。硫黄泉の白い湯の華が少々浮遊していた。



7 某個人宅

一般の家の家庭風呂に周囲の数軒で利用されている地元専用共同湯。浴槽は一つで混浴である。湯の感触は黒褐色で馬場温泉のヌルいものである。源泉で40度ほどであろう。地元専用温泉で何度も行ってやっと入浴の許可がおりた。



黒褐色(80センチ)甘味、少硫黄臭と観察した。特記は大量の泡付きで炭酸泉のように体中が泡で真っ白になる。取り去っても取り去っても付着する。馬場温泉の湯小屋は熱いがそれを適温にした感じである。素晴らしい源泉であった。





 

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2012/05/04 東北 

鳴子滝の湯、東鳴子油臭の温泉群

1鳴子温泉 滝の湯共同湯 (再訪)

酸性硫黄Na、Al,Ca,Fe-SO4泉 46.2度 町営下地獄源泉 白濁、酸味、硫黄臭



滝の湯は鳴子の有名な共同湯で混雑していた。小さな湯小屋ながら大きめな内湯浴槽が室内に大きく取られている。裏側に打たせ湯がありこちらが温泉神社源泉で、浴槽が町営下地獄源泉である。分析表ではPH2.8の酸性泉で酸性硫黄緑礬石膏明礬泉である。



鳴子での酸性泉は少なく珍しい。裏手の地獄地形の表層水なのであろう。すぐ隣のゆさやの源泉はアルカリ性である。青森ひばの床、浴槽で46.2度の源泉が大きな樋から掛け流されている。真っ白に白濁し、酸味、硫黄臭の温泉である。ヌル目の打たせ湯の源泉は炭酸味がした。



2鳴子温泉 ゆさや (再訪)

硫黄Na-SO4 99.5度 HS 83.4 CO3 90.0 緑色、硫黄エグ味、たまご味、硫黄臭あり、つるつるの湯



うなぎ湯の本家で有名なゆさやである。滝の湯の隣にあり、100メートル以内の掘削でまったく違った源泉が湧出している。99.5度の含硫黄芒硝泉でPH 8.9である。硫黄の含有量が多く全国でも屈指のHS 83.4mgを誇っている。CO3も90mg含有されつるつるの湯になっている。



重曹泉でなくても炭酸イオン(CO3)が存在すればつるつるするのである。緑色不透明、硫黄たまごエグ味、硫黄臭と観察した。今回はつるつるが少々弱かったような気がした。好調であれば中山平に匹敵するつるつるであるが、やや少なめであった。



3鳴子温泉 すがわら (再訪)

透明、少エグ味、少薬品臭 CO3 50.3 H2SiO3 498.6 つるつるの湯



鳴子の東寄りにある宿。平成20年に分析し直すと、総量が倍増したとのこと。またCO3が50.3mg メタ珪酸が498.6mgと個性的物質も含有したまに青くなる温泉である。



別府や湯布院の一部に見られた青い湯は、鳴子にもあったのだ。東の横綱と思われる多数の泉質と個性的な湯がたくさんある鳴子にまた変り種の温泉を発見した。透明、少エグ味、少薬品臭でつるつるの湯であった。今回は青くなかったが青くなった写真をみた。



4東鳴子温泉 まるみや (再訪)

薄赤褐色、渋エグ味、少金気臭 鄙びた湯治場、日帰り不可



東鳴子温泉は鉄分を含み赤味をもった源泉の赤湯と黒い湯の重曹泉が湧出する温泉地で各旅館によってその個性が違い、素晴らしい温泉地帯である。東鳴子の入り口に近い鳴子温泉寄りのまるみやは独自源泉の浴槽が良い湯で薄い赤褐色の色の湯である。



47.5度の重曹泉で溶存1016mgの薄いものだが、鉄分を1.2+1.5で2.7mg含有し存在感のある湯になっている。弱い炭酸味も感知できる新鮮な湯である。薄赤褐色、渋エグ味、少金気臭と観察した。



半地下のようなコンクリート浴槽が独自源泉の浴槽で、1階には赤湯共同源泉を使用している浴槽もある。こちらは透明で存在感は少ない。日帰り入浴不可の湯治専門宿で古い風情のある建築であった。



5東鳴子温泉 田中旅館 (再訪)現在廃業しました

黒褐色、エグ味+苦味残る、油刺激臭多し 円形のドーナツ型浴室



東鳴子の東部に行くと黒湯が湧出している。代表的な例が田中旅館である。黒褐色の湯でエグ味+苦味残る、油臭多しと記録した。特に匂いが強烈で、刺激的な油臭が印象的である。ほかには初音旅館や高友旅館、馬場温泉なども黒湯である。80.5度の重曹泉で総計1808mgと1722mgの2枚の分析表があった。



ドーナツ型の浴槽で穴の部分は吹き抜けで外部になっている。変った浴槽で混浴である。東京の黒湯が高温で湧出し、さらに油臭がするといった温泉である。強い存在感のある温泉である。古いコンクリート造の浴室棟で宿は奥に木造の瀟洒なものが建っている。昔、鳴子に初めて来た時に泊まった温泉である。20年近く前であるが時間が止まったかのように同じく存在していた。



6東鳴子温泉 高友旅館 (再訪)

黒湯はオリーブ色、刺激味、タール臭 ひょうたん湯は薄褐色、エグ味強し、油臭



田中旅館の前にあるのが高友旅館である。ここには名湯「黒湯」とシャボン玉のような泡が表面に出来る「ラムネ湯」が有名である。木造の大きな宿で迷路のように建っている。大浴場的に使われているのが黒湯で混浴である。以前は4ヶ所の浴槽はみな混浴であったが今回はラムネ湯が女湯、ひょうたん湯が男湯になっていた。ラムネ湯とひょうたん湯は同じ源泉なので良いだろう。



しかし湯の入れ方で泡の浮くラムネ風呂に入れなくなったのは残念であった。黒湯はその名前のごとく黒いわけではなく、オリーブ色である。黄褐色の濃いものである。刺激味で、タール臭がある。幸の湯源泉で59.2度の含硫黄重曹泉(S-Na―HCO3)でHS 2.4mg H2S 2.2mg CO2 189mgである。しかしアスファルトのタールのような刺激臭が特殊である。



油臭の濃さは田中旅館に一歩譲るが、すこし匂いの種類が違う。ラムネ湯に使われている玉の湯源泉は51度の含硫黄重曹泉で薄褐色透明、エグ味強し、油臭である。つるつるがやや強めで良い感触の温泉であった。朝一番の掻き回されていない時には表面一面にシャボン玉のような泡が付くのである。何度か遭遇したことがある。



7馬場温泉 湯小屋 (再訪)

黒褐色(コーラ色)刺激味、少油臭あり、つるつるの湯 泡付きあり、47度前後の熱い湯



馬場温泉の庭先にある国指定の文化財でもある湯小屋は立て替えられていた。もう5年になるというので、それ以上のご無沙汰であったわけだ。風雪で板の表面も茶色に染まり風格が出てきた。以前のものとあまり変らない感じで建っていた。文化財でも同じように立て替えて良いのだそうだ。



ここの湯はいつ来ても熱い。今回は夏なので、48度くらいの熱い湯になっていた。入浴すると泡付きがあり新鮮な良い湯である。匂いも良い。しかしなんせ熱すぎて長湯が出来ないのが残念である。ここは冬向けである。黒褐色(コーラ色)、刺激味、少油臭であった。つるつるの感触もあり、色、味、匂いの個性もはっきりとある名湯である。東鳴子の宝である。



なお別源泉が母屋と宿の間にあり、温度もあり似たような源泉ながら使われておらず、ただ捨てられているのがもったいなかった。宿の湯は同系の重曹泉でコンクリートの湯小屋に三角形の浴槽がある。屋根は木造である。自炊もやっている新しい湯治宿である。ここに泊まり中庭の湯小屋で湯三昧すれば素敵であろう。次回の楽しみとしたい。



 

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東北 

奥ノ院地獄と鳴子の名湯 11か所

1奥の院地獄

野湯 高温の川、土砂崩れで泥湯になっている。アイボリー白濁、酸味、硫黄臭



奥の院の沢は、驚くことに車道に至る地点ですでに適温の湯の流れである。入浴スポットを探し登ってゆくと湯はかなり高温になってきた。43度ほどあるであろう。先日の地震の影響か?途中に大きな崩落地点があり、大木が倒れており、土石流の跡とも思える凄惨な状況であった。



しかし泥が大量に溜まった底に湯が流れアイボリー色の湯であった。酸味は片山地獄と荒湯地獄の中間ほどの酸味で、硫黄臭は少ない。奥には壮大に上がっている噴気地点が見える。しかしそこまでは行かずに手前で入浴した。これ以上登ると高温で入浴不能になると考え、土石流の地点であった。熱い湯がこれほど流れているのは凄いことだと思う。



2中山平温泉 丸進別館 (再訪)CO3 166mg 薄白濁、苦エグ味、土(墨)の香り.つるつる最も強し 斜めの浴室  現在休業中



中山平温泉は才色兼備の素晴らしい温泉である。つるつるの入浴感触と多量に含有された硫黄分、高温の源泉、渓谷と山の美しい風景。噴気が所々に噴出し温泉情緒を高めている。日本を代表する良い温泉である。丸進別館は小さな宿で最近は土日しか営業していない。宿泊は止めてしまったようだ。なお現在は休業中である。



残念である。ここの浴室が不思議で、全体に傾いており、ドアが斜めに付いている。湯が溢れると上に向かって流れるような不思議な空間である。湯は100度の含硫黄芒硝重曹泉(S-Na-HCO3,SO4)で総計1198mgの源泉である。分析値を見て驚いた、以前の記録であった炭酸イオン(CO3)の含有量がさらに増して166mgとなっていた。硫化水素イオン(HS)も32mgと多い。



遊離硫化水素(H2S)も1.1mg含有し湯の色は薄白濁している。苦エグ味、墨(土)の香りであった。入浴するとつるつるの感触を超えてヌルヌルである。中山平で最強のつるつる度であった。匂いが硫黄臭ではなく墨のような匂いで変わり種である。厚い湯が少量掛け流しされていた。





 

3中山平温泉 レストハウス星沼 (再訪)透明、たまご味、少硫黄臭 つるつる強し 綺麗な湯



国道沿いにあるレストハウス星沼は健在であった。星沼山荘とも書かれている。宿の奥に簡素なコンクリート造りの浴槽が男女1つずつある。湯が良い。含硫黄重曹泉で1号源泉と3号源泉の2枚の分析表があり98度と98.2度である。ともに炭酸イオンが主成分でCO3 134.7mg 153.7mgと多量に含有されている。



硫黄分はHSの23.3mgとS2O3の1.1mg 3.5mgである。透明、たまご味、少硫黄臭である。こちらでは丸進別館とは違い正統派の硫黄臭がした。つるつるも強く気持ちの良い入浴感である。湯は新鮮なためか白濁や緑がかっておらず綺麗な透明である。中山平温泉の特徴を良く出した湯であった。



4中山平温泉 鳴子ラドン温泉(休業中)

HS 37 S2O3 5.6 H2S 2.1 美しい緑色透明、少エグ味、少硫黄臭 つるつるあり、東蛇の湯と同じ源泉 3.11の地震の影響で休業中である。



何度か訪問した東蛇の湯と同じ経営のラドン温泉に行った。自炊棟が東蛇の湯でラドン温泉は旅館部である。鉄筋のホテルであった。内湯と露天風呂は離れてある。湯は総計1137mgの含硫黄―芒硝重曹泉で100度である。HS 37.3mgと多く、CO3は44.9mgと少ない。東蛇の湯と同じ源泉である。内湯は薄緑色で露天風呂は濃い緑色で美しかった。



つるつるは前の2つに比べると少なくつるつる程度であった。以前東蛇の湯に入浴した時の記憶では猛烈なつるつるであったので使い方の違いであろうと推測した。女湯は内湯が白濁していたと聞いた。温泉は使い方でずいぶん変ってしまうものだと感じた。内湯は源泉追加しながら浴槽内部で循環されており熱い湯を冷ますためだと思われる。露天風呂は弱く掛け流しされていた。



5吹上温泉 峯雲閣 (再訪)泊 食塩泉 透明、無味、湯口微硫黄臭 木造全8室の小さな宿 渓流に面する混浴大露天風呂あり



吹上温泉は川の両側より温泉が流れ込み野湯の川に入浴できる温泉である。むらさき地獄という源泉は噴出泉で壮観である。その吹上温泉で1軒の宿。以前訪問して玄関の豪快な吹き抜けと古い民家の造りが記憶に残っていて宿泊した。



前に流れる川は紫地獄からの湯が合流して温かく、入浴可能であるが今回は雨で増水していて冷たかった。湯は92.2度の食塩泉で総計1086mgの清澄な温泉である。透明、無味、湯口微硫黄臭というものであった。木造の全8室の小さな宿で内湯と混浴の大露天風呂がある。ともに掛け流しで利用されている。



6吹上温泉 間欠泉の湯

大きな露天風呂、間欠泉の湯を入れている。透明、無味、無臭 弱食塩泉か?



朝一番で吹上温泉の天然記念物の間欠泉を見学に行く。庭に露天風呂があり、噴出を待つ間に入浴した。大きな混浴の露天風呂だけの施設である。間欠泉の湯を溜めておきそれを掛け流しで注いでいる。



プールのような大きな浴槽だが熱い湯なので湯口に近づくとかなり高温になる。湯は峯雲閣と同系の食塩泉または単純泉であろう透明、無味、無臭であった。川に沿った露天風呂で風情は良く造られていた。入浴後に丁度、間欠泉の噴出が始まり見ることができた。



7神滝温泉 (再訪)

古い木造宿 金気のある食塩泉 古びたコンクリート浴槽



神滝温泉は以前のままの鄙びた宿で存在していた。煮締めたように茶色に変色した外壁の板が古さを物語っている。しかし2階と浴室の窓はアルミに変えられていた。障子で廊下と区切られた部屋の前を通り浴室に行く。温泉で変色した浴槽は四角いものが一つで男女混浴である。



64.4度の食塩泉で総計1917mgの温泉である。鉄(Fe)を1.7mg含有し鉄渋味と金気臭が感知できた。湯は湯口の栓を抜くと豪快に掛け流しになる。透明、少塩味、鉄渋味、少金気臭と観察した。古い木造宿で鳴子屈指の鄙びた温泉宿であろう。



8鳴子温泉 農民の家 (再訪)

4本の源泉あり、硫黄泉がメイン、炭酸泉はCO2 433.7mgで規定に入っていない 炭酸分抜けていた。



鉄筋の大きなホテル、浴室が4ヵ所にあり、それぞれ違う源泉で温泉好きにははずせない宿である。農民の家という名前の通り、外観から見たホテルというよりも、大きな湯治宿である。人気があるのか混雑している。硫黄泉3本と炭酸泉がある。大浴場は男女別で79.2度の3号泉が使われている。HS 44.6mg S2O3 0.7mg H2S 10.1mgである。白濁(20センチ)、硫黄の甘苦味、焦げた硫黄臭多しであった。



分析表とおりかなりの硫黄泉で立派な源泉である。炭酸泉は33.1度の4号泉で CO2 433.7mgであるが炭酸分は抜けてしまっており透明、エグ味、少金気臭のヌル湯であった。源泉のまま掛け流しにされているが炭酸分が無いのは泉脈が変ったと思われる。混浴の浴室である。もう一つの混浴の硫黄泉浴場がある。64.2度の1号泉でHS 10.8mg S2O3 3.1mg H2S 47.6mgという硫化水素型である。



白濁(18センチ)、硫黄苦味強し、硫黄臭少ない、と観察した。大浴場より白濁が濃い湯であった。もう一つのやすらぎの湯浴場という浴室は74度の2号泉でHS 4.5mg H2S 20.6mgの源泉であるが男湯は透明、硫黄甘味、少硫黄臭であった。硫黄泉ながらここだけ透明であった。4ヶ所の源泉に入れる温泉パラダイスである。



9鳴子温泉 姥の湯 (再訪)

4本の源泉 硫黄泉、単純泉、芒硝泉、重曹泉



姥の湯も4本の源泉があり44.2度の単純泉、54.2度の芒硝重曹泉、60度の土類芒硝泉、63.5度の硫黄泉の4本である。木造2階建ての大きな民家風の施設である。芒硝重曹泉は露天風呂に使われており、透明、エグ味、少湯の香である。つるつるの感触があった。



タイル貼りの内湯が土類芒硝泉で透明、無味、湯口微硫黄臭であった。硫黄泉は木造の湯小屋で雰囲気が良い。木の浴槽で真っ白な湯が入っていた。HS 2.1mg H2S 1.8mgとは思えない硫黄分で白濁、硫黄甘味、焦げ硫黄臭であった。



10鳴子温泉 東多賀の湯 (再訪)

45度の硫黄泉掛け流し、真っ白な湯 HS 31.2 H2S 2.1 CO2 481



鳴子駅の下側の国道沿いにある温泉宿。西多賀の湯と隣り合っている。45度の含硫黄石膏芒硝泉(S―NaCa-SO4)でHS 31.2mg S2O3 0.3mg H2S 1.1mgという硫黄型である。緑色になりそうだが温泉の不思議さで真っ白に白濁している。



PH 5.4という酸性寄りのためであろうか?松の木で作られた浴槽と床で4年ほどで張り替えるそうだ。白濁、少酸味、プラスチックのような化学薬品臭であった。硫黄臭なのであろうが連続の硫黄泉で慣れてしまい硫黄臭を感じなくなっているのかもしれない。



 

11鳴子温泉 西多賀の湯 (再訪)

60.5度の硫黄泉 緑白濁、白い湯の華浮遊 HS 12.1 S2O3 2.4 H2S 34.3 CO2 315と東多賀と違い遊離硫化水素多い。



西多賀温泉は東多賀温泉のすぐ隣ながら泉質が違う、鳴子温泉の含蓄のある温泉分布が分かる良い例である。西多賀の湯は緑白濁した湯が印象的である。浴槽や床は白い析出物で覆われ白骨温泉のようである。



60.5度の含硫黄芒硝重曹泉でHS 12.1mg S2O3 2.4mg H2S 34.3mgの硫化水素型である。緑白濁白湯の華多数浮遊、少硫黄苦味+少炭酸味、プラスチック臭と記録した。コンクリートの四角い内湯のみで簡素な浴槽である。しかし湯が良いので充分である。小さな木造2階建ての宿である。

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