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九州
2013/03/16 九州 

長湯周辺の炭酸泉と湯布院の個性派温泉 

1 筌の口温泉 新清館

筌の口温泉は炭酸を充分に含有した温泉で、成長の度合いで緑色から赤褐色になる素晴らしいものである。総計3559㎎のNaMgCa-HCO3,SO4でCO2は750㎎という炭酸泉間近である。



鉄分は分析表には無いが、赤くなり大きな露天風呂は茶褐色、炭酸エグ味、金気臭と少炭酸刺激臭である。



風情のある造りで大きな露天風呂の中に東屋が建っており、湯口からは豪快に湯が注がれている。内湯はコンクリートの浴槽で湯の色が緑白濁である。



浴槽の縁には析出物が付着し、うろこ状になっていた。良い温泉である。



2 山里の湯温泉

炭酸泉の本場に来た。筌の口温泉の入口にある山里の湯はCO2が1080㎎で立派な炭酸泉である。



温度が40度あり炭酸泉としては熱い方である。源泉浴槽と仕切られた浴槽の2つがあり、源泉直接の浴槽は透明、2槽目は薄白濁していた。



源泉からは大量の気泡が湯口から上がっており、近くに行くと炭酸刺激臭がする。味覚は炭酸エグ味で炭酸が強い、匂いは炭酸臭とかつおぶし臭(微硫黄臭)である。



身体への泡付きが多く、すぐに真っ白に気泡が付く。素晴らしい炭酸泉である。このあと新清館を含めると炭酸泉系の温泉を6か所はしごするがここの泡付きが下ん湯の次に多かった。



3 七里田温泉 下ん湯

七里田温泉の下ん湯は日本有数の炭酸泉で泡付きも韮崎旭温泉などと日本一を競っている。



今回行ってみるとラムネ温泉と表示され外壁は塗り替えられて、内装もきれいに改修されていた。鍵付きになり、七里田温泉館で1000円の保証料を払って借りる方式であった。



浴槽は以前のままで湯の入れ方も湯口少し下からそっと入れている。透明、炭酸エグ味、炭酸臭+少金気臭であった。



泡付きは山里の湯よりさらに多く、超大である。自分が泡発生器になったように泡が付くのはここが一番であろう。温度も38度ほどでそれほどぬるくない。日本を代表する炭酸泉であろう。



 

4 長湯温泉 郷の湯旅館

入口の前に川があり、捨て湯の析出物が大量に丘のように付着して壮観な温泉。浴槽も析出物で縁が厚くなり茶碗のように析出物で凝り固まっている。



総計5573㎎のMgNa―HCO3(重炭酸土類泉)で炭酸CO2は792㎎と炭酸泉には少し達していない。黄色白濁、エグ味、無臭で源泉温度が高いので炭酸が飛んでいる感触であった。



露天風呂は湯が入れられておらず、内湯だけであった。湯は掛け流しで良い使い方である。



長湯全体に言えるが熱い温度なので炭酸分が源泉近くですぐに抜けてしまっているのが残念である。気泡は付かない。



5 長湯温泉 水神の森

なかなかすごい温泉がある。温度が48.4度もありながら炭酸分CO2を989㎎も含有しているのである。そしてタンクに溜めずに掛け流ししているので源泉周囲は炭酸刺激臭が放散されすごい存在感の源泉である。



鉄分も多く含み源泉名は含鉄土類重層泉(Fe2-NaMg-HCO3)である。総計5668㎎と濃い源泉である。



重層泉なので塩分はなくエグ味が強い。露天風呂と2浴槽の内湯の施設で茶褐色に濁り、炭酸エグ味、炭酸刺激臭が多く、アンモニア臭もある。



熱いので身体に気泡は付かないが匂いが凄く、充分に炭酸を感じられる名湯である。



 

6 長湯温泉 ラムネ温泉

藤森氏の変わった建築になってから初めてラムネ温泉に来た。外壁は焼いた木と白い漆喰で黒白のツートンカラーになっている。浴槽の入口は低く、茶室のにじり口のようであった。



2本の源泉を使っており内湯は温度のある源泉で総計4328㎎の重炭酸土類泉(MgNaCa-HCO3)で41.2度である。3つの浴槽があり微妙に温度が違っている。



緑褐色濁り、炭酸エグ味、湯口刺激臭と有機物臭があった。炭酸CO2も911㎎含有しほぼ炭酸泉に近いものである。長湯の代表的な泉質である。



露天風呂がヌル湯の炭酸泉で総計3662㎎の含炭酸重炭酸土類泉で32.3度である。CO2は1380㎎で溶存物質は2282㎎とその分少なくなっている。透明、炭酸清涼味、炭酸刺激臭あり、と観察した。



泡付きは山里の湯よりやや少なめの中程度ながらしっかりと気泡が付き身体が白くなる。以前の仮設の時とほぼ同じであったので良かった。



7 湯平温泉 志美津旅館

湯平温泉は飲泉が有名で、お茶代わりに温泉水を出すことでも有名である。四万、峨々温泉とともに日本三大胃腸病の湯に選定されている。



湯は総計2474㎎の重層食塩泉で69.5度である。透明、弱塩味+微エグ味、無臭と観察した。特に味覚は昆布茶の薄いもののような独特のうまさがあった。



この温泉の浴室は洞窟風呂が有名で、岩を組み合わせて洞窟のようになっている。瀟洒な和風宿で雰囲気が良い。



8 湯平温泉 砂湯温泉共同湯

湯平温泉街は細い石畳の両側に温泉宿が並んでいる風情のあるものである。その中に共同湯が点在していて格安で入浴できる。



金の湯共同湯、銀の湯共同湯、中の湯共同湯、橋本温泉共同湯、とこの砂湯温泉の5か所もある。



細い路地で川を渡ったところにある共同湯で、川に迫り出しており。洪水のときには流されそうな配置である。木枠の浴槽が1つの簡素なもので掛け流しで湯が床に溢れている。



熱い湯で透明、少塩味、無臭の湯平特有の泉質であった。

 

9 湯布院温泉 山のホテル夢想園

湯布院郊外にある温泉宿で、由布岳が敷地全体から見渡せ美しい斜面にある。大きな露天風呂から眺める立派な山容の由布岳は美しい。



男湯は御夢想の湯で、女湯が空海の湯、弘法の湯の2つ、このほか貸切風呂が4か所ほどある。62.5度のアルカリ性単純温泉で総計804㎎である。



炭酸イオンCO3が24㎎含有され弱いすべすべがある。浴槽は巨大なもので25メートルプールのようである。



循環であるが致し方ないであろう。しかし爽快な眺めと凝った造りの露天風呂で風情は良い。



10 湯布院温泉 ゆふいん泰葉

この湯には驚いた。青い湯でさらにつるつる強しであった。すごい存在感である。



98.4度の食塩泉で総計2007㎎である。そのうちつるつるの指標である炭酸イオンCO3は99.6㎎で九州地区でも指折りであろう。メタケイ酸は567㎎でかなり多い。



隣の庄屋の館が594㎎で少し勝っている。しかし青い色の湯で今回はすこし時間が経っていたのか、青色白濁であった。



弱い塩味、無臭である。すぐ横に大きなゆけむりが立っている源泉がある。以前行った一禅はこの源泉の引き湯とのことである。40トンタンクで1日冷ましてから浴槽に入れているがまだ熱いそうである。強烈なつるつるで素晴らしい温泉であった。



 

11 湯布院温泉 庄屋の館

大きな露天風呂が有名な庄屋の館に再訪した。今日は青色透明ではなく、青白濁であった。



総計2050㎎の食塩泉でCO3 21㎎でメタケイ酸594㎎という温泉で弱いつるつるの湯になっている。巨大な露天風呂が一つで100度近い高温の源泉が注がれている。



高温の源泉のため大きな露天風呂も表面が熱く掻き混ぜると適温になる。青白濁、微塩エグ味、噴気臭の温泉であった。



宿の造りは古い木造の移築なのか風情が出ている。離れのように点在している。個性的な温泉宿である。



 

 

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2013/02/27 九州 

九州温泉道 別府ほか 

1     山香温泉 風の郷

山香温泉は個性的であった。内湯と露天風呂の浴槽は加水されているが、つるつるの感触があり「つるつるやや強し」と記録した。



源泉浴槽が露天に樽風呂になっており、茶褐色で塩甘味、炭酸味、少刺激臭がある。総計14420㎎の重層食塩泉(Na-Cl,HCO3)でNa 3670 Ca 394 Cl 4340 HCO3 4930 CO2 352というスペックである。



源泉掛け流し浴槽は38.7度の源泉をゆっくりと掛け流ししているため、かなりのヌル湯になっている。しかし浴槽の縁には炭酸とカルシウムによってうろこのような析出物が付き、色もある湯で、炭酸味と匂いがある個性的な湯であった。



CO2は352㎎であるがそれより多く感じた。体感清涼感があり、炭酸味があるので800前後の含有量であろう。しかし重層の含有が半分を占めているので、加水するとつるつるするという個性が出てくる不思議な源泉であった。



 

2 亀川温泉 四の湯温泉

亀川の市街地にある四の湯は小さな共同湯で男女別に楕円形の浴槽が1つある別府の典型的な温泉である。



浴室の中央に1つのみ浴槽があり、楕円形の中央に仕切りがあり温度差が付けられている。適温の浴槽とやや熱めの浴槽である。



透明、無味、ながらえびせんのような噴気臭がある。泉質は単純温泉である。古いままの造りの共同湯で別府第1湯になった。



3 別府海浜砂湯

亀川から別府に向かう海岸沿いに海浜砂湯がある。海岸の波打ち際に砂場があり、2か所が四角く仕切られている。片側は湯が張ってあり、田圃のようであり、片側が砂になっている。



簡素な屋根があるが張っておらず、露天である。砂をかけた人の上には日差し除けの黄色い傘が突き刺してある。源泉としては62.8度の食塩泉である。



これで砂を温めているのであろう。指宿のような足元自噴ではないが昔は自噴していたのであろう。現在は配管で湯を入れている。内湯浴槽もある。

 

 

4 明礬温泉 湯の里

明礬温泉の一番高いところにある露天風呂がメインの温泉施設。湯の花小屋の並ぶ観光地の奥にある。大きな露天風呂と小さな内湯がある。



含硫黄酸性泉で白濁しており、酸味がある。匂いは硫黄臭がある。露天風呂からは明礬温泉の市街が見渡せる美しい景観である。



明礬温泉の中でも酸味のある温泉で個性的である。他には山田屋や湯元館、鶴寿泉などと同系の泉質である。明礬温泉のもう一つの泉質は白濁しているが酸味の無いものでえびすやや岡本屋、豊前屋などである。

 

5 明礬温泉 豊前屋旅館

現在、閉鎖されている地蔵泉共同湯の前にある温泉宿。小さな内湯があるだけである。熱い湯を掛け流しにしている。



小さな浴槽1つである。中性の硫黄泉で白濁、無味、甘い硫黄臭である。





6 さわやかハートピア明礬

大きなホテルの温泉。内湯はCaNaMg―SO4,HCO3で57.3度の湯が使われている。透明、無味、無臭ながら弱いすべすべのある泉質であった。



大きな1つの浴槽である。ここは露天風呂が白濁した硫黄泉で良い。以前は簡素な湯小屋であったが、この度改築され男女別の内湯付き露天風呂が新築されていた。



総計928㎎の単純硫黄泉でHS5.1㎎ H2S 23.4㎎と充分な硫黄分が含有されている。離れになっており、庭先を歩いてゆく。



内湯とそれに湯がつながった露天風呂が付いている。湯の花が多量に浮遊して白濁し、無味、硫黄臭あり、と観察した。





7 照湯温泉

新築になった照湯は妻側に鬼瓦の付いた白い壁の温泉施設になった。昔は浴槽が一つであったが、この度は男女別になった。



今回は昔ながらの石の浴槽があるほうは女湯で新築の浴槽のほうになった。正方形の浴槽が浴室の中心にあるタイプの温泉である。



98.1度の単純温泉で加水掛け流しとしている。透明、無味、かつおぶしのような硫黄臭(噴気臭)であった。



8 鉄輪温泉 渋の湯共同湯

鉄輪の中心部にある共同湯。温泉寺の下である。透明、塩味、噴気臭の鉄輪特有の食塩泉が入れられている。熱い湯である。



JR九州からの依頼で九州内の温泉を88ヶ所選び、別府温泉道のような企画を始めるということで私が選定委員長に選ばれて別府での会合に呼ばれた。九州では1000ヶ所を上回る温泉地に入浴している私は、そのなかでわずかに88ヶ所であればかなりの厳選ができると信じている。



温泉好きの永遠の聖地、別府に行くというのは興奮する。定番の鉄輪温泉の渋の湯から入浴した。

今回の選考委員にも選ばれている斉藤氏の湯雨竹で源泉のまま適温に冷まされている源泉は素晴らしく、塩ダシ味がはっきりと分かった。匂いも湯雨竹の部分から放出されており、鉄輪特有の噴気臭がわかった。87.1度の食塩泉である。

 

9 鉄輪温泉 かんなわ蒸し湯

渋の湯のとなりが蒸し湯である。石蕉を敷いた岩室に入りサウナのようにあたたまる。しかしここの熱さは強烈でいつも短時間しか入れない。



薄い食塩泉の内湯も併設されている。鉄輪温泉で名所のひとつであった蒸し湯が改築されてから2回目の訪問である。すでに4年経っているという。源泉は82.4度の食塩泉である。渋の湯とともに十万源泉で金龍地獄と河野源泉が足されている。しかし浴槽部分は加水されているのか透明、無味、無臭であった。蒸し湯は男女別になり貸し浴衣を着ないと入れなくなっていた。8分入るように言われたが、渋の湯で暖まった身体に8分は強烈で、5分も経たずに出てしまった。床に敷いてある薬草の石菖の香りがよかった。ただしかなりの高温である。

 

10 鉄輪温泉 ひょうたん温泉

別府鉄輪温泉でも特有の酸味のある食塩泉が湧出している温泉。3781㎎の食塩泉で102度である。



湯雨竹で源泉のまま適温に冷まされている源泉は素晴らしく透明、酸味がある塩味、噴気臭となっている。



施設内は温泉が数多くあり、内湯が数か所と大きな露天風呂、さらに名物の19本の打たせ湯が壮観である。





11 別府温泉 ゆわいの宿竹の井

別府温泉の旅館集中地区の北浜の中にあるビルの温泉宿。8階の屋上風呂である。総計1181㎎の芒硝食塩重層泉(Na―HCO3,Cl,SO4)で53度の温泉である。



薄く黄色になっておりモールの含有がわずかであるが認められる。無味、無臭である。しかしよわいつるつるがあった。





12 別府温泉 加賀旅館

別府一の析出物が付着した洞窟風呂には間欠的に噴出する源泉があって、壁にぶち当たりそこら中が析出物だらけになっている浴室が素晴らしいが、今回は湯を張っていなかった。



さらに源泉の湧出口にエルボを付けて壁に直接ぶつからなくなっていた。奥にある内湯に湯が張ってあり、源泉湯口からは以前の通り間欠的にボコッボコッと浴槽の中に出ていた。



湯は透明、甘味、無臭でつるつるの感触がある。別府特有の金気と渋味は無い。

 

13 別府温泉 野上本館

内湯大浴場に入浴した。壁に立てかけられた石は析出物が成長してさらに迫力を増していた。床にも析出物がたまりだんだん風格が出てきた。



総計1225㎎のNaCa-HCO3(土類重層泉)で55.8度である。建物の直下が源泉である。透明、甘味、無臭ですっきりとした温泉である。





14 別府温泉 ちとせ旅館

別府の街中にある民家のような小さな宿。素泊まりで1泊2500円という格安の宿である。独自源泉を持っており。玄関横に源泉があった。



湯は重層泉だと思われる。透明、無味、無臭ながら析出物が多く、浴槽の縁に迫り出して析出している。縁の立ち上がり部には10センチほどの析出物が付着して厚くなっていた。



弱いつるつるのある温泉であった。

 

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2012/11/17 九州 

鹿児島の温泉 指宿、古里、まさかりほか 

1指宿温泉 弥次ヶ湯温泉

指宿に久しぶりに来た。「日本全国マル秘湯」という単行本以来だから、約10年ぶりである。



指宿は町中に小さな共同湯があり、古い造りで風情がある。弥次ヶ湯温泉はレトロな建築で四角い浴槽が2つあり、床が赤褐色に染まり風情がある。分析表がないので4~5グラムの食塩泉であろうと推測した。



透明ささ濁り、塩味、少金気臭ありと観察した。コンクリートの浴槽であるが底に木が敷いてある。建築は10年前と一切変わらず古い意匠のものでこのまま残してもらいたいものである。



2指宿温泉 村の湯温泉

弥次ヶ湯温泉の近くにある、足元湧出の共同湯である。2つの浴槽が並んでおり、ともに足元が源泉で自噴している。



以前は劇熱で数秒も入れなかったが、今回は適温になっていた。小屋組みの露出したひなびた浴室でささ濁り透明、塩味、無臭である。



総計はちょうど良いだし汁のようで8グラム前後と思われる。外観のペンキだけ塗り替えたがその他は以前のままでこの、古い温泉を末永く守ってもらいたい。



3山川温泉 ヘルシーランド露天風呂

山川港の先の台地には温熱地帯があり、海岸には温泉が自噴して天然足元湧出砂蒸し温泉になっている。



その台地は開聞岳と近くの屹立した岩峰が眺められ海の景観と合わさって非常な絶景である。湯は総計28,510㎎の食塩泉で温度は100度である。



大きな眺めの良い露天風呂が一つで潔い温泉施設である。加水、循環なのであろう、透明、少塩味、無臭と源泉よりも薄くなっている。



大隅半島も眺められ美しい。100度の源泉をうまく冷まして小さくてもよいので源泉掛け流しの浴槽を造ってほしい施設であった。しかし景観は国内に誇るほどの絶景である。



4古里温泉 桜島シーサイドホテル

鹿児島の桜島フェリーに乗って、桜島に渡った。古里温泉は有名な混浴風呂のある温泉ホテルではなく、内湯と絶景の高台にある露天風呂があるシーサイドホテルにて入浴した。



46.8度の食塩泉で総計4126㎎である。鉄分の成分が良く出ており、黄緑色に濁り、塩エグ味+微炭酸味、少金気臭である。



掛け流しの四角いタイルの内湯に色の付いた源泉が掛け流しになり、露天風呂は一面の海の眺望が美しい。Fe 5.9㎎、CO2 395㎎である。



5まさかり温泉 TM温泉牧場

日本で有数の析出物の多い温泉。ほかに考えると北海道の二股ラジウム温泉や島根の木部谷温泉、入の波温泉、山鳩湯くらいしか思いつかない。



とにかく炭酸を含んだカルシウムが炭酸カルシウムとなって析出し、湯口や浴槽の縁に付着する。以前来た時にあった露天風呂は析出物で埋まりなくなっていた。



内湯もあったが配管が詰まり、無くなっているので露天風呂風の内湯の半分になった浴槽に源泉が入れられていた。



土類重層泉(NaCa-HCO3)で総計4207㎎である。炭酸分は836.9㎎で1000㎎には及んでいないので含炭酸という名は付かない。しかし41.8度というやや高めの温度が炭酸を良く残している。



湧出口からは間欠的に炭酸とともに湯が湧出している。析出物はかなり削られているが縁に20センチほど付いている。湯は茶褐色で白い湯の華は浮遊している。これは炭酸カルシウムであろう。味覚は炭酸エグ味で炭酸の少刺激臭がある。日本の珍温泉として屈指の温泉であろう。



6海潟温泉 江の島共同湯

海潟温泉の江の島共同湯は古い造りで入浴料も150円と格安である。しかし湯が良く、新鮮で中央に1つだけの浴槽に掛け流しされており、良い温泉である。



46.8度の単純温泉で総計510㎎という清澄なものであるが、HS 1.6㎎ S2O3 0.7㎎を含み硫黄臭とたまご味がはっきりわかる。

 


またCO3(炭酸イオン)を30㎎含有し主成分になっている。そのため、つるつるした感触の良い湯である。以前に行ったときには中央の浴槽から床一面にきれいに薄く掛け流しになっていて感動したことがある。良い温泉の見本である。



 

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2012/11/11 九州 

人吉温泉と鹿児島の足元湧出温泉、つるつる温泉ほか

1人吉温泉郷 華まき温泉

人吉はモール泉があり黒い湯に入れるが、ここ華まき温泉は黒い湯ではなく透明である。純重曹泉で34.1度という温泉である。



国内屈指の個性派の源泉で泡付きが非常に多く源泉掛け流し浴槽では身体中が真っ白になる。今回は貸切風呂で非加熱掛け流しの「岳の湯」に入浴した。



総計1558mgで湯の個性は少ないがとにかく泡付きが凄い、これは炭酸ではなく湯中に溶け込んでいた気体で酸素や窒素という普通の大気であろう。透明、少エグ味、無臭と観察した。



2人吉旅館

人吉旅館は以前に宿泊して雰囲気の良い宿だなあと思っていたら、このたび国指定有形文化財になるようである。やはりそうであったかと思った。玄関口には天井に梁が露出し古民家のようである。



客室は正統派の書院造で派手さはないが質実である。食塩重曹泉(Na-HCO3,Cl)で54.6度、総計2247mgである。



以前は黒湯であったが今回はほとんど黒くなく、淡い褐色であった。エグ味に少たまご味が残り、モール臭があった。



つるつるの湯で入浴感は良い。浴槽の中に椅子があって腰掛けて入浴するという変わった趣向である。少ないながら新鮮なために少泡付きがある。良い温泉であった。



3人吉温泉 新温泉共同湯

創建当時からの建築が残る新温泉は貴重である。ここも鶴亀温泉などとともに有形文化財物であろう。古びた木造の共同湯で青いペンキの屋根である。



白木の脱衣場であるが古色を帯びていて茶色になっている。看板類が古く古物商のようである。



単純温泉の総計490mgでモール泉である。薄黒褐色、少たまご味、モール臭ありと記録した。広い内湯の空間の両脇に浴槽があり石造りである、一つはかなり浅い。不思議な温泉である。



4白木川内温泉

足元湧出の温泉で岩肌が露出しておりその中から涌いている。この濃い緑色の岩肌が野趣に富んでおり国内でも屈指の素晴らしい温泉である。



湯の個性が良い、上の湯と下の湯があり上はHS 5.6mg CO3 49mgで下の湯はHS 14.7mg CO3 33mgである。微妙な差であるがこの2つの成分が非常に良い感触となっている。



透明、たまご味、硫黄臭である。つるつるの感触もあり極上の泉質である。それが足元から湧出しているのでこれ以上の良い温泉は考えられないほどである。貴重な温泉遺産として大事に守ってもらいたい温泉である。



5湯川内温泉 かじか荘

日本を代表する足元湧出温泉の一つと言って決して間違いない名湯である。上下に2つの浴槽がありともに足元湧出である。



湯が透明で綺麗に澄み渡っている。上の湯は大きな岩が足元にあり、その周囲が砂利や砂敷きになっていてそこから湧出する。下の湯も砂利敷きの中から湧出する。



総計153mgの極めて清澄な源泉であるがHS 3.3mg S2O3 2.0mgで単純硫黄泉である。CO3を32.9mg含有しており陰イオンの主成分になっている。つまり炭酸ナトリウム系の単純温泉である。そのため透明、たまご味、硫黄臭で成分総量にしては絶大な存在感の良い湯である。



つるつるもほかの成分が少ないので非常に強く感じられる。つるつるやや強しと記入した。宿は木造の古い宿で左側が湯治棟で宿泊棟は玄関のある右側の棟である。ここの湯に入り足元からの湧出する湯の流れに身を任し、のんびり入浴していると夢想の境地になる。温度も30度台でヌル湯である。天然記念物にしたい温泉である。



 

6紫尾温泉 しび荘

紫尾温泉はこんなに良かったか。と思わせてくれた宿である。以前、神社の横にある古い共同湯に入り、その後新築されてからも入ったが、今回はしび荘に入浴した。総計373mgの単純硫黄泉でHS 12.2mg S2O3 1.0mg の含有量である。



HS系の硫黄泉特有の緑色透明になり素晴らしい源泉である。たまご味に硫黄臭はやや強めにある。そしてCO3が51.6mg(36%)で多量に含有されていてここも「つるつるやや強し」である。



掛け流しで使われており良い。楕円形の浴槽と壁際に四角い浴槽もある。露天風呂は一度外に出てから入浴する方式である。単純硫黄泉の代表とも言える立派な温泉であった。



7吹上温泉 みどり荘 宿泊

吹上温泉は黒い硫化鉄が湧出する温泉として珍しい。これは町営源泉が持つもので、みどり荘でも内湯が町営源泉を使っており、黒く濁っていた。



露天風呂が池の周囲に2か所あるがどちらも独自源泉で透明、無たまご味、硫黄臭である。



みどり荘はみどり池に面した敷地に点々と離れが点在する瀟洒な宿である。10年近くぶりに再訪した。



いぜんのまま内湯は町営源泉と独自源泉の混合泉で黒色(8センチ)焦げたまご味、硫黄臭は弱い。総計297㎎でHS16.44㎎という含有である。PHも9.0でつるつるの感触もある良い湯である。



 



 

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2012/11/01 九州 

九州温泉道 鹿児島、宮崎編1 

1霧島温泉  湯之谷温泉

九州温泉道という企画があり、主に私が選定した温泉施設や宿のうち88か所に入浴すると泉人になれるというものである。今回鹿児島を中心に廻った。湯之谷温泉は霧島の中心地、丸尾から少々山に入ってゆくと丸尾の滝があり、そこをすぎてすぐの温泉宿である。丸尾の滝は温泉成分が含有されていてやや白濁している。温度もヌルいそうだ。



湯之谷温泉は何度目かの訪問であるが変わらずに存在していた。木造の内湯に2つの源泉が注がれており、一つはヌル湯で炭酸泉と呼ばれている。ただし1000mgには達していないので正確には炭酸泉ではない。しかし炭酸味を感じる源泉である。



これが小さな浴槽に注がれており、大きな浴槽は44.1度の単純硫黄泉である。総計985mgでHS 0.2mg H2S 10.8mg S2O3 0.3mgの含有量である。この熱い浴槽は白濁し、少炭酸味、硫黄臭である。



ヌル湯のほうは透明白湯の華浮遊、少炭酸味、微硫黄臭であった。このヌル湯と熱い湯の混合浴槽が中央にあった。ここが適温である。露天風呂は離れにあり昔は入浴出来たが、今回は宿泊者専用になっていた。小さな岩造りの浴槽である。



2霧島硫黄谷温泉 霧島ホテル

霧島ではいわさきホテルと並ぶ大きな宿で、緑渓湯苑などとも並ぶ大湯量の温泉宿である。大きな千人風呂の内湯浴槽があり深くかつ広いので50メートルプールのような大内湯が名物である。久しぶりに訪問した。



その大浴槽の周囲にも小さな浴槽がいくつかあって、これらは鉄泉、明礬泉、塩類泉、硫黄泉と4つに分かれている。しかし違いは湯が透明か、白濁かの違いで便宜上の泉質名の違いにしているが分析表が4枚あるわけではない。



代表的な一番大きな浴槽の湯は薄白濁、少明礬味、少硫黄臭であった。奥に行くと内湯を出て露天風呂になるがここの湯が明礬味が濃く、色も白濁しもっとも成分が多いと感じた。



塩類泉は透明、無味、無臭であまり存在感はない。昔は別棟に明礬泉、硫黄泉、鉄泉の3つの浴槽が並んだ温泉があったが現在はなくなってしまった。とにかく大きな内湯で国内でも屈指の千人風呂といえるであろう。



3湯穴温泉

宮崎県に入って都城に向かう途中にある個性的な鉱泉の入浴施設。炭酸を充分に含有し、CO2 677.9mgで炭酸泉に近い。温度が22.5度しかないのでCa-HCO3冷鉱泉である。総計2723mgでカルシウムが370mgも入っているので炭酸カルシウムとなって析出し、浴槽の縁は析出物でいっぱいである。九州温泉道には私が推薦した。



湯の存在感も大きく茶褐色に濁り、炭酸鉄味、弱金気臭であった。湯面近くは析出物が迫り出し庇のようになっている。個性的温泉の一つである。



湯の色、味、匂いも変わっており、良い泉質であった。源泉に触れられるのが良い、よく加熱の温泉は源泉に触れられないで循環していることが多いが、ここは湯口のカランが自在で温泉の感触を楽しめるのが良い。たくさん投入すれば加熱掛け流しである。このような鉱泉の使い方がベターである。



4湯之元温泉

霧島の東側の山麓は宮崎県の高原町になっており、日本有数の炭酸泉湧出地域である。近くに極楽温泉、血捨の木(東霧島温泉)、皇子原温泉などの炭酸泉または炭酸含有泉がある。温泉がたいへん良い使い方になっていた。



この湯之元温泉は21.6度の含炭酸重炭酸土類泉(CO2-Mg、Na、Ca-HCO3)で炭酸の含有量は1314mgである。使い方が素晴らしい。源泉のままの高濃度炭酸泉と少加熱の中濃度炭酸泉と加熱した赤い浴槽の3ヶ所があり、炭酸の温度による含有量が入浴することによって分かるというものである。



まず高濃度浴槽に入ると炭酸清涼感が体感できる。そしてものすごい量の気泡が身体中に付着する。味は炭酸えぐ味である。匂いは炭酸の刺激臭がする。弱く加熱した中濃度炭酸泉も気泡が付き、ややヌルメの浴槽である。



加熱した浴槽は鉄分の含有が5.3mgあるので赤く濁り、炭酸味も弱くなっているに従い、鉄渋味が出てくる。匂いも金気臭である。炭酸泉の劣化の状況が分かる日本唯一の温泉であろう。



庭には以前から変わらずに飲泉場がありここでペットボトルに源泉を汲むことも出来る。宮崎の誇る炭酸泉の名湯といって間違いないであろう。



5サンヨーフラワー温泉

私が以前出版した「日本全国マル秘湯」という本で紹介した温泉。温度がありながら、炭酸分を含有しているので入浴すると少し熱く感じるという、炭酸清涼感がある。



露天風呂が掛け流しで良い。浴槽の縁は赤く染まりこの温泉の存在感がある。湯は46.1度の重炭酸土類泉(Ca、Na,Mg-HCO3)で総計3330mgとなかなか多い含有量である。



46.1度の温度ながら炭酸を647mg含有しており、長湯などよりも炭酸泉という感触がある。特記するべき際立った個性はその匂いであろう。



香ばしい匂いがして炭酸刺激臭ではない。どちらかというと掘削直後のノッチタンク入浴のような香ばしい香りである。湯口から香っている。芳香である。



6神の郷温泉

以前違う名前だったときに訪問した温泉。以前は紀の島温泉と言った。温度のある土類重曹泉(Na、Mg、Ca-HCO3)が湧出しており毎分2000リットルを誇っている。



そのため男女とも内湯、露天風呂ともに豪快な掛け流しである。ここも炭酸分を充分に含んでおり、入浴したときに熱く感じる体感清涼感を感じることができる。湯がたいへんフレッシュである。析出物も浴槽の縁に付いており雰囲気は良い。



透明、炭酸味、少香ばしい香りと観察した。宿泊者専用温泉や部屋付き露天風呂も掛け流しで良い温泉である。




7妙見温泉 おりはし旅館 宿泊

おりはし旅館の旧館の2階の風情が良く、ここに泊まりたいなあ、とかねてから思っていた。このたびまさに2階の角部屋に宿泊できた。欄間の透かし彫りが素敵である。2面が窓で廊下が廻っており古い造りで私の好みの部屋である。



デザイナー系や新築おこもり系の宿などより私はこのような昔ながらの客室に感動する。湯は妙見同系の土類重曹泉(Na、Mg,Ca-HCO3)で46.9度である。総計は2211mgと比較的少ないが湯の存在感はある。





薄緑褐色で炭酸の痕跡のある味覚で、少エグ味もある。匂いは土類臭であろう。内湯は4分の1円形の浴槽に掛け流しされている。

内湯

露天風呂は庭園風岩組である。離れにキズ湯という浴舎があり入りに行った。33度のヌル湯でキズを治すのであろう。また51度の源泉も引かれているので熱い湯にも入れる。

キズ湯

 

 



 

 

 

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