温泉チャンピオン 郡司勇の温泉サイト » 2010 » 9月
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郡司が実際に行き、観察・記録した湯について書いています。
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温泉紀行
2010/09/26 関西 
世界遺産の温泉、ツルツル日本一

奥熊野温泉 女神の湯 (再訪)  
 新施設になっていた。循環だが強烈なつるつるとエグ味は健在 
 CO3 287.2 (レベル5) 



 

国内でも最強のつるつる、ぬるぬる感がある温泉として記憶に強い湯。以前アイリスヒルズという宿の内湯であったが、今回行ってみると離れたキャンプ場の近くに別棟があり、こちらが温泉浴室になっていた。



 

タイル貼りの小さな建屋で男女別に外部から浴室に入る方式である。中に入ると3~4人用のポリバスであった。湯は循環であるが、ここの温泉は強烈なヌルヌル感があり、大きな存在感がある。総計は記入されていなかったが3グラムほどの純重曹泉で約26度、pH 8.6である。Na 1142(99.2%)Cl 303(16.1%)HCO3 2128(65.5%)CO3 287.2(17.98%)という組成である。炭酸イオン287.2mgというのは国内でも屈指の含有量で純重曹泉にこれだけの炭酸イオンが含有されているとヌルヌルは強くなるのは当然である。たまに強食塩泉で炭酸イオンが多いものがあるがこれはつるつるにならない。透明、弱い塩味+エグ味強し、無臭と観察した。



循環なので弱くてもオーバーフローがほしい温泉である。浴室棟の隣に食堂があるが熊の肉を出された。また以前からあったように大鷲、イヌワシなどの猛禽類を飼っている。オウムや他の鳥もいる。

8 湯の峰温泉 つぼ湯 (再訪)  
 足元湧出源泉 白濁 硫黄臭あり 



湯の峰温泉は最近いつも素通りしていて、10年以上ご無沙汰している。世界遺産に指定されたつぼ湯に入浴しようと思い、あづまやに宿を取った。共同湯の受付でつぼ湯の券を買う30分750円である。30分はややあわただしく写真を撮っているとすぐ経過してしまう。



湯の峰の中央を流れる小川の中にある足元自噴の源泉浴槽である。渓流の流れの中に小さな湯小屋が建っており、桧皮の屋根が掛かり瀟洒である。この風情が非常に良く薄暮の中、いろいろの角度で写真を撮った。



中に入り、湯を触るとかなり温度が高くなっており、入浴不能である。不本意ながら少々加水して入浴した。すぐ下流に湯筒の源泉があり100度近い湯が湧出している、色は透明である。こちらはそのすぐ上であるが白濁した湯で硫黄臭が濃い。白濁(20センチ)少苦味、硫黄臭ありと観察した。



二人入れば一杯なほどの小さな窪みが湯壷で室内に大きな岩が飛び出している。含硫黄食塩重曹泉(S-Na-HCO3・Cl)で硫黄分は5から10mgであろう。湯の峰温泉ではあづまやは透明で、共同湯のくすり湯が薄白濁なので、このつぼ湯が一番濃い白濁である。



湯小屋の壁が下半分が開く方式になっており、ワイヤーを巻き上げると渓流が見える半露天風呂になる。世界遺産の足元湧出温泉で泉質も良いので高い評価とした。


9湯の峰温泉  共同湯薬湯  
 薄白濁 少重曹味 硫黄臭あり すべすべあり(ランク2) 



湯の峰薬師(東光寺)のとなりにある共同湯。一般浴室とくすり湯浴室の2つに別れている。一般湯は加水しているが、くすり湯は加水しないで掛け流しにしている。その違いである。



つぼ湯に入浴した人は共同湯の入浴も無料ということで、加水無しのくすり湯に入浴した。総計1781mgの硫黄食塩重曹泉で89.6度の分析表がある。HS 2.8 S2O3 2.0 H2S 0.5mgの含有量である。CO3が54mg含有され硫黄泉の特徴と重曹泉のつるつるのある湯である。薄白濁、少重曹味、硫黄臭ありと観察した。御影石の壁に木の枠の浴槽で弱く湯が掛け流しになっていた。

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2010/09/17 近畿 
和歌山の山奥の名湯ほか、文化財の温泉も

4 朝日リゾート白浜ホテル  
 立派なゴルフ場のホテル 露天風呂のみ温泉 やや濁りが良い 
 つるつる(レベル2.5)



白浜温泉のある海沿いではなく、白浜駅より田辺よりのゴルフ場に付いた温泉。玄関に到着すると素晴らしい建築で驚いた。白亜の立派な総御影石の外壁で黒い鉄骨がアクセントになっている。最高裁判所のようなたいへん金を掛けた建築であった。内部もロビーは3層吹き抜けの豪壮なもので、内装も総石造りである。ローマに来たかのようであった。



さて浴室は1階にあり、内湯は白湯で温泉は露天風呂のみである。パーゴラの付いた円形の浴槽で純重曹泉が掛け流しで利用されていた。しかし加温、加水の表示がある。湯は薄緑色にごり、無味、無臭で色の存在感がある。加水でなかったらさらに濃い色であろう。



この近くには海から離れると濃厚な重曹泉が湧出しており、田辺温泉(CO3 149.6)や南紀の台温泉、梅香丘温泉などはCO3 251.5mgと奥熊野温泉に次ぐ炭酸イオン含有量になっている。どれも強烈なつるつる感で記憶に強い。ここも食塩を含有していない純重曹泉でつるつるの温泉であった。分析表の掲示がなかったので詳細が不明であるがつるつるの感触のある温泉であった。

5竜神温泉 上御殿    
 立派な格式のある木造旅館 国指定文化財 
 渓流の美しい内湯と露天風呂  つるつるやや強し(レベル3)


白浜温泉より山を登って竜神温泉に久しぶりに訪問した。和歌山県の山深い渓谷に湧く温泉で、以前は高野龍神スカイラインを通って来た。再訪したのは国指定文化財に指定された上御殿に訪問するためである。



この宿は入浴のみは不可なので事前にアポを取って入浴の許可を得てから行った。日本三大美人湯とされている泉質も再度ゆっくりと確認したかった。道路沿いに面して立派な造りの本館が建ち、裏に同じような外観の新館と浴室棟がある。



文化財の本館はむくり屋根の小さな建築であるがまっすぐな建築1棟だけでシンプルである。1階は玄関と道路に面した廊下が何の仕切りも無くある。道路を歩いていれば廊下に座れてしまうのである。障子の紙一枚のみで内部である。



玄関に入ってみると格式の高いのがすぐ分かった。立派な上がり框と畳敷きの玄関は重厚な雰囲気が漂っていた。2階の御成の間は紀州藩主が泊まられたままに保存されている。



シンプルな和室ながら障子に御簾が下がっており、高貴な雰囲気である。襖絵や墨書も格式の高いイメージである。現在でも泊まれるのか不明であるが、この部屋の宿泊料金は聞かなかったがいくらであろうかと思った。温泉は美しい渓流美の川沿いに桧風呂の内湯と岩組の露天風呂がある。



47度の純重曹泉でpH7.9 総計1598mgである。塩分や土類金属などの成分を含有しない極めて純粋な重曹泉でNa 390(95%)HCO3 1071(93.4%)というものである。そのため山形の黒鴨温泉のようにCO3を含有していなくてもつるつる感がありやや強しと判定した。



清楚な新しい桧風呂から渓流の流れが見え、落ち着いた温泉である。露天風呂も山の香気が漂ってくる深山の温泉である。この温泉街でほかに有軒屋や坂井屋などが良い風情であった。

6近露温泉 ひすいの湯 (再訪) 75  
  CO3 129.6 つるつるかなり強し(レベル4)

 

熊野詣での中辺路にある温泉。近露というところにあり、奥熊野温泉とは近い。以前、奥熊野温泉アイリスパークに宿泊した時に入浴しに行ったことがある。小さな共同湯のような造りで受付とは別に浴室棟が建っている。浴室には外に赤と青ののれんが架かっており、外部から男女別に浴室に入る。



この温泉の記憶はつるつるの湯である。総計5565mgの食塩重曹泉で25.3度の鉱泉である。タイル貼りの浴槽が一つのみの簡素な造りである。食塩を41.7%重曹を52.4%含有し重曹泉がメインになっている。さらに炭酸イオン(CO3)を129.6mgと大量に含有しつるつるかなり強し、であった。



透明、弱塩味+やや強めの重曹エグ味、無臭と記録した。浴槽には加熱した源泉を入れ放しにしており、加熱掛け流しである。この源泉の使い方としては最良の方法である。川を眺める内湯で小さな良い温泉である。

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2010/09/13 近畿 
南紀白浜温泉の個性的温泉

1 白浜温泉 白浜館  温泉地再訪 
 壁一面の析出物に圧倒される。塩甘味で少硫黄臭がある 



 

 

 

 

 

 

白浜温泉の白良浜に面したメイン通りにある温泉。白い3階建ての建築でリゾート風な雰囲気である。高層ホテルではない。白浜温泉の泉質は以前は重曹泉であったが、汲み上げ過ぎのために海水が浸透してきて、年々、食塩泉になってきたと言われている。過去にあった源泉が硫黄を含むつるつるの重曹泉であったならば、素晴らしい温泉であっただろう。以前、民宿「望海」で甘露源泉という凄い分析表を発見した。含重曹食塩泉がほとんどの白浜で、含食塩重曹泉であった。



 

 

 

 

 

 

 

総計も塩分が少ないので少なく4160mgで驚くことに硫化水素イオン(HS-)が38.8mg H2S 0.92mgというものであった。この白浜館の源泉は上山湯源泉で総計10354mgの重曹食塩泉で白浜の代表的な行幸源泉に近いものである。ムロの湯源泉よりも重曹が少なく、食塩が多くなっている。76度の源泉で熱い湯が毎分450リットルも湧出している。総硫黄は1.3mg(HS 0.6 H2S 0.7)ほどで少ない。



 

 

 

 

 

 

浴室に入って驚いた。源泉を流している壁一面が幅10メートルほどに渡って析出物の鍾乳洞のようになっていた。露天風呂には岩風呂と2連の樽風呂がありこちらには付着していない。この内湯の析出物の壁は湯の児温泉の昇陽館などと同じく人為的に付きやすく流したものと思われるが、立派な造形になっている。



 

 

 

 

 

湯は透明、塩甘味、弱いが甘い硫黄臭と観察した。重曹を含む食塩泉であるがつるつるは感じられなかった。

 



 

 

 

 

 

 

 

2 白浜温泉 湯崎館 温泉地再訪 
 行幸源泉の掛け流し、つるつるの湯(レベル2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムロの湯近くの海岸沿いにある温泉旅館。高層ビルの建築である。海を眺める貸切露天風呂と「屋形の湯」という岩組の露天風呂、そして「竜門の湯」という内湯がある。



 

 

 

 

 

 

 

 

内湯が掛け流し量が多くここで入浴した。室内に大岩があり、熱い湯が適量掛け流しになっている。行幸源泉で分析表が2枚あり、総計8928mg・83.2度(平成元年)11150mg ・78.6度(年月日不明)の食塩泉である。



重曹分は25%(平成元年)から17.9%(不明)に減少し含重曹とも言えなくなっている。硫黄分はチオ硫酸が1.0mg(平成元年)と2.3mgである。透明、おいしい塩甘味、微硫黄臭である。ここにも湯口に析出物があり白浜館ほどではないにしろ析出物が付く泉質である。CO3が25.3mg(平成元年)と129mgと2つありずいぶん違う分析になっている。湯の感触はつるつるで気持ち良い。



 

  

 

 

 

 

 

 

3 椿温泉 元湯椿館 (再訪) 
 独自源泉 つるつるやや強し(レベル3)
椿温泉ははるか昔の訪問で、記憶が薄くなったので入浴しに行く。国道沿いの宿で崖地のためエントランスが8階になっており、海に向かって下がってゆく建築である。



 

 

 

 

 

 

 
展望の良い海の見える内湯と庭にある林の中の露天風呂がある。独自源泉の単純硫黄泉で総計241.8mg、32度という源泉である。毎分120リットルの湧出量とpH7.9で特記成分はH2Sの3.57mgである。温泉は少し加熱してすべて掛け流しである。カランも温泉である。



 

 

 

 

 

 

 

透明、無味、微々硫黄臭である。薄い成分総量と芒硝食塩系ながらつるつるする湯でかなり強いのが不思議であった。主な成分はNa 39.2 Mg 8.1 Cl 64 SO4 42 HCO3 10.9という組成である。CO3の分析値は無かった。この成分でつるつるする理由が見つからない、温泉とは不思議なものである。



 

 

 

 

 

 

32度という温度なので源泉浴槽があり、好感した。湾になった海の景観が美しく、青い水平線が良く見える。湯は掛け流しで入浴すると床に溢れ良い。露天風呂は裏庭にあり、石組の庭園露天風呂である。ヌル目の湯がつるつるで気持ちよい。奇麗な湯であった。

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2010/09/02
神戸で講演会開催

以下の通り神戸で講演会を開催します
よろしくご参加のほどお願いします。

http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_569358.html

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