温泉チャンピオン 郡司勇の温泉サイト » 2010 » 10月
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郡司が実際に行き、観察・記録した湯について書いています。
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温泉紀行
2010/10/31 近畿 関西 
島で船で無いと行けない温泉、ジモ専2ヵ所

1勝浦温泉 ホテル中ノ島  
 透明ながら硫黄臭ぷんぷんの湯 紀州潮聞の湯は絶品 



勝浦の波止場は浦島行きの船と中の島行きの船の桟橋が並んでいる。今回初めて中の島行きに乗船した。



入り組んだ勝浦の湾内を走り島全体が温泉ホテルになっている中の島に到着した。奇岩絶壁の島が入り江に点在し美しい海岸美である。



この島に6箇所の独自源泉があり、湧出している。きっと勝浦の湾内にも多数温泉が湧いていることであろう。1日当たり850トンということは毎分600リットル弱の湧出量があるということで、大量の湯がこの島に湧いているのは驚きである。



露天風呂は絶景の海に飛び出すように面して野趣たっぷりにしつらえられている。紀州潮聞の湯と命名されている。透明ながら、塩苦味+たまご味のする温泉で、はっきりとした硫黄臭がする良い湯であった。



総計6718mgの含硫黄土類食塩泉(S-NaCa-Cl)で51度である。HS 2.4 S2O3 15.8 H2S 0.7という硫黄分で総硫黄18.9である。湯の状況では白濁すると思われる。白濁した写真もよく見かけるのであるが今回は透明で残念であった。



浴槽は硫黄の白い析出物で白く染まっている。露天風呂が圧倒的に素晴らしいが、内湯からの海の展望も良い。ここに泊まれば部屋からも美しい海岸美を堪能できるであろう。中の島の桟橋では釣りをしている人がいた。魚影の濃い海でよく釣れるであろう。


2湯川温泉 国道脇の湯小屋 
 施錠のため 溢れ湯の川にて入浴 藤澤さんありがとうございました。

 

湯川温泉近くには多くの源泉垂れ流しがあって、各所に自噴している素晴らしい温泉地帯である。ややヌル目であるが、硫黄臭とたまご味がはっきりと分かる温泉で海に近いながら塩分は含有していない。屋久島の尾の間温泉や平内海中温泉なども同じように塩分が含有されていない。



国道沿いの「こんなところに」という場所に小さな湯小屋が建っている。施錠されているが流れ放しの源泉は湧出量豊富で小川になって流れ去っている。この小川で入浴した。トタン張りボロ湯小屋で風情があり、中で入浴したかったが所有者の許可をとらなかった。湯は湯川温泉一般の硫黄泉で透明、たまご味、少硫黄臭というものである。



3湯川温泉 二河共同湯  
 ぼろいコンクリート共同湯 ゲロゲロの汚さ 硫黄析出物でヌルヌル


細い道に面した小さな共同湯。地元専用のようであるが、施錠もされておらず、特に入浴の制限も明記されていない。コンクリートの建築で男女別に小さな浴室と1畳くらいのさらに小さな脱衣場が付いているだけの温泉である。湯がヌルく流れる量も少ないので、掛け流しながらやや新鮮味には欠けた。



地元でも使われていないのであろう、浴槽はヌルヌルの硫黄析出物で覆われており、入浴すると白いブヨブヨした粘液状の湯の花が舞い上がり気持ちの良いものではない。たまご味、少硫黄臭の湯川温泉一般のものであるが清掃も良くなく印象は良くなかった。

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2010/10/27 近畿 
十津川温泉と湯泉地温泉など

1十津川温泉 蕨尾共同湯 (再訪) 

 純重曹泉 つるつるの湯 下湯共同源泉  



十津川温泉に再訪した。つづら折れの道は幾分改修され良い部分もできた。国道沿いにある蕨尾共同湯に再訪した。鄙びた共同湯で簡素なタイル張り浴槽が一つの温泉施設である。



ここも平谷地区も下湯の引き湯で分析表に拠ると61.5度の重曹泉で総計1594mgの温泉である。透明、重曹味、少湯の香と観察した。弱いつるつるがあるが、上湯ほどつるつる度は強くない。近くの平谷荘の風情が良い。

2湯泉地温泉 むさし 温泉地再訪 
 小さな内湯掛け流し 新鮮 硫黄臭あり すべすべ(レベル1)



十津川からさらに沢を遡り湯泉地温泉に行った。以前は共同湯に入浴して湯の鮮度が悪く良い記憶がないので、今回は宿に入浴をお願いした。「やど湯の里」は臨時休業中で十津川荘は湯を抜いたばかりでカラであった。そこで「むさし」という小さな宿に入浴させていただいた。小さな内湯で岩風呂が1つのみである。十津川村全体が掛け流し宣言しており、この宿も掛け流しである。湯泉地温泉は単純硫黄泉の源泉で47.3度のもので総計296mg HS 4.1 S2O3 1.3という硫黄含有量である。透明、たまご味、硫黄臭ありで硫黄分をかなり感知出来る新鮮な湯であった。



よわいすべすべもある湯で存在感はある。下湯と違い硫黄泉であった。

3十津川温泉 吉乃屋 温泉地再訪 
 下湯共同源泉 泡付きあり、景観も良い 



渓谷がダムによって湖のようになっている湖畔にある温泉宿、エメラルドグリーンに染まった湖水が背景になった展望の良い温泉である。内湯、露天風呂ともに眺められる。



内湯は湯口が泡で白濁しており、身体に気泡が付いた。ここも蕨尾と同じ下湯源泉の引き湯であるが何かの具合でこのような泡付きが見られるのは不思議である。岩組の内湯と同じく露天風呂も岩組のものである。



露天風呂の横に大木の刳り貫き風呂もある。弱く掛け流しされており、この地区はすべて掛け流し宣言をしている。透明、重曹味+微たまご味、微硫黄臭であった。70.2度の重曹泉で総計1549mgの温泉で蕨尾共同湯にあった分析表とほぼ同じである。S2O3が0.2mg含有され仄かな硫黄の感触も感知出来た。



4熊野川温泉 さつき   
 透明、無味、無臭 循環  



熊野川は広い平野に出て、広々とした流れになって悠々と流れている。奇麗な水のまま河口に着く川は良いものだ。新宮に着く手前にある熊野川温泉は新しい温泉センターの施設である。27.8度のアルカリ性単純泉でpH9.02という源泉である。総計401mgと薄い成分量である。特記する個性はなく、透明、無味、無臭である。循環が残念であった。

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2010/10/24 近畿 
湯の峰の老舗あずまやと川湯と秘湯1つ 

1湯の峰温泉 あづまや 泊   
 冷まし湯あり、透明、たまご味、少硫黄臭  

湯の峰の湯筒の前にある木造の老舗旅館。なお湯の峰薬師の前にある「くらや」も古い造りで良い風情である。木造2階の建築で木造建築の良さが出ている外観である。



湯は環の湯源泉という92.5度の食塩重曹泉で毎分92リットルHS 3.8 H2S 1.3 というものである。各浴室には大きな浴槽とさまし湯という源泉掛け流しの浴槽の2つがあり大きなほうは加水掛け流しであるが、小さな冷まし湯は源泉掛け流しである。透明、たまご味+少苦味残る、少硫黄臭である。



冷まし湯はやはり硫黄臭は飛びつつあり、くすり湯やつぼ湯に比べて硫黄臭は少なくなっていた。もう1枚分析表があり、上人湯・平成2号泉混合となっているが、こちらは59度の源泉で毎分20リットルHS 1.6 S2O3 6.1 H2S 1.3となっている。ほぼ環湯源泉であろう。



槙の木で造った浴槽は風格があり、天井の高い浴室とともにすっきりした温泉である。大浴場と中浴場が夜に男女入れ替えになっており、両方入ったがさまし湯浴槽は両方とも小さな一人用のもので、加水浴槽が大きなものと、中くらいのものに変っているだけである。壁はログハウスのように丸太を並べたもので変った意匠になっていた。



露天風呂は男女の仕切りに大きな岩を配したもので庭園風に造られているが硫黄分は少ない。



 
2熊野瀬温泉   
 小さな共同湯風温泉 ヌル湯掛け流し 金気臭あり 



昨日の夕方、熊野瀬温泉に立ち寄ったが湯はカラで本日入浴したいので、湯を張っておいてくれるように頼んだ。快諾してくれて朝に訪問した。民宿の棟とは別棟になった共同湯のような小さな温泉である。



白い壁で男女別に外から入口になっているものである。大きな板に熊野瀬温泉と墨書されている看板が掛かっている。湯は38度のヌル湯で総計1336mgの食塩重曹泉(Na―HCO3,Cl)で炭酸ガスが112mg含有されておりポンプ直結の源泉では炭酸分を感じることが出来た。



石貼りの壁に木枠の浴槽がある内湯と石組の露天風呂があるが露天風呂はまだ湯が溜まっておらず、半分しか入っていなかった。しかし湯ははっきりと個性を発揮しており透明、渋エグ味、金気臭である。ヌル湯ながら掛け流しで良い使い方であった。



3川湯温泉  仙人風呂   
 巨大な足元湧出温泉 加水が残念 



川湯温泉には記憶が強い、15年くらい前に行ったとき仙人風呂はなく、川原のそちこちに浴槽が造られていた。その一つに入浴したのであるが、持参のカメラ、キャノンF1が転がって水没したのである。その後動かなくなり、「写るんです」のレンズ付きフィルムで南紀を廻ったことがある。しかし1ヶ月ほど経ち、乾燥するとF1は再起動した。その後何年も使えた。強いものである。



さて久しぶりの川湯温泉であるが今回は仙人風呂が造られており、幅15メートルで長さ50メートルほどの大きな露天風呂になっていた。深い浴槽で底から湯が大量に湧出しており、表面は熱い湯になっている。そのため掻き回して入浴すると適温になる。



特に道路対岸の岩の周囲は高温でこの大量の湯が熱くなるだけの湧出量があるのは驚いた。最上部に川の水を入れている部分があり、加水しないと熱すぎるそうである。湧出地点の一部は囲ってあり70度の温度と書いている。



大きな露天風呂から湯気が上がり立派な温泉である。日本一の大きさであるとのことだが、宝川温泉や玉造温泉の長泉閣や草津の西の川原露天風呂なども大きく、どこが日本一であるかそれぞれが謳っているので正確な面積が分かると良いと思っている。

湯は清澄なもので透明、無味、無臭の奇麗な湯である。川との境にのれんの目隠しが並べてあり、コンクリートの縁もしっかりと造られていた。

対岸の道路沿いには旅館街が並んでおり、中でも亀屋旅館の風情が良く、竜神温泉の上御殿のような立派な建築であった。次の機会があったら泊まりたいと思った。コンクリート造の共同湯もあり川湯温泉公衆浴場と書いてあった。山沿いの小さな温泉地でゆっくりするのには最適であろう。

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2010/10/03
10月10日温泉の単行本出版「究極の温泉」

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