温泉チャンピオン 郡司勇の温泉サイト » 2012 » 8月
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郡司が実際に行き、観察・記録した湯について書いています。
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温泉紀行
2012/08/12 九州 
別府の名湯と湯布院の御三家 

1鉄輪温泉 渋の湯

JR九州からの依頼で九州内の温泉を88ヶ所選び、別府温泉道のような企画を始めるということで私が選定委員長に選ばれて別府での会合に呼ばれた。

九州では1000ヶ所を上回る温泉地に入浴している私は、そのなかでわずかに88ヶ所であればかなりの厳選ができると信じている。

夏は高速道路で別府に近づいても湯煙が少なく迫力に欠けるが、温泉好きの永遠の聖地、別府に行くというのは興奮する。

昨年の冬に宇宙船地球号なるテレビ番組で訪問して以来である。まず久しぶりの鉄輪温泉の渋の湯から入浴した。今回の選考委員にも選ばれている斉藤氏の湯雨竹で源泉のまま適温に冷まされている源泉は素晴らしく、塩ダシ味がはっきりと分かった。

匂いも湯雨竹の部分から放出されており、鉄輪特有の噴気臭がわかった。87.1度の食塩泉である。

 

2鉄輪温泉 鉄輪蒸し湯

鉄輪温泉で名所のひとつであった蒸し湯が改築されてから初めて訪問した。すでに4年経っているという。源泉は82.4度の食塩泉である。渋の湯とともに十万源泉で金龍地獄と河野源泉が足されている。

しかし浴槽部分は加水されているのか透明、無味、無臭であった。蒸し湯は男女別になり貸し浴衣を着ないと入れなくなっていた。

8分入るように言われたが、渋の湯で暖まった身体に8分は強烈で、5分も経たずに出てしまった。床に敷いてある薬草の石菖の香りがよかった。ただしかなりの高温である。

 

3浜脇温泉 二幸荘

浜脇で古い遊郭のイメージを残し現在も使われている宿はこの二幸荘しかなくなってしまったそうだ。東大博士の別府を研究している女性に聞いて訪問したが、外観はすっかり改築され古い造りではなくなっていた。



しかし浜脇のほとんどの源泉が枯渇して雲泉寺源泉の引き湯である現在、独自源泉はここと新玉旅館くらいしか無くなっていたのは残念である。



この湯は透明、無味、無臭ながら驚くことに上からの湧出口が無く足元湧出源泉だと思われる。



4浜脇温泉 山田温泉

浜脇の茶房たかさきに行くのにかなり迷った。そのときに発見した小さな共同湯が山田温泉であった。すぐ前の駐車場に泊めて入浴した。



透明、無味、無臭の雲泉寺源泉で小さな浴槽が中央にある別府特有の共同湯であった。



5浜脇温泉 茶房たかさきの湯

おしゃれな喫茶店の個人宅の温泉。このたび温泉道に入会して私は初めての訪問である。



個人宅のリビングのような喫茶店である。別棟に透明、無味、無臭の雲泉寺源泉で岩風呂のような内湯があった。



6別府温泉 ホテルニューツルタ

いつもお世話になっている鶴田氏であるがまだ泊まったことが無く、この度初めて泊めていただく。別府温泉カルテによると浴槽内部分析表では重曹食塩泉で食塩泉がメインになっていた。



よわいツルツルもあり重曹泉の良さも持っている。敷地内独自源泉の宿である。浅い地点からの湧出ながら近くの竹瓦などと違って金気臭が少なく個性は弱いが薄くささ濁りになっている。



湯口から源泉掛け流しになっており、私の意見ながら源泉掛け流しをもう少し宣伝しても良いと思われた。



7的が浜温泉 共同湯

つるつるの重曹泉

国道10号線沿いの北浜の近くにある共同湯。2階が北的が浜公民館で1階が共同湯の温泉である。鄙びた外観の共同湯である。



中央に浴槽が一つの一般的造りの温泉である。49.5度の独自源泉で素晴らしい源泉である。総計2116mgのNaMg-HCO3で重曹分の含有量が多いのでつるつるの感触がある。



別府北浜周辺では金気によってつるつる感がなくなっているがここはつるつるである。また浴槽周囲に少ないながら析出物が付き素焼きの陶器のようになっていた。



もとは地元専用温泉であったが最近、温泉道にも入った。薄緑色、甘味、無臭と観察した。



8別府北浜温泉 加賀旅館

ポンプのせいだと思われるが間欠泉、別府一の析出物

国道の海岸際にある北浜の温泉街の一角にある木造の旅館。ホテルニュー松美の隣である。ここの洞窟風呂がすごい。



源泉が壁から間欠的に湧出して、反対側の壁に当たっている。湧出口も湯が当たっている方もキャラメルのような析出物がたくさん積層して壮観である。別府ナンバーワンの析出物であろう。



浴槽の周囲にも10センチほど析出物が付いている。そして掛け流しで溢れる部分は小山になっていてその上を湯が流れている。



ゴーという音とともに湯が噴出し、壁にバシャと当たる。強力な個性的な浴室を発見した。湯は透明、甘味、無臭でつるつるの感触がある。別府特有の金気と渋味は無い。



 

 

9湯布院温泉 乙丸温泉館

湯布院特有の温泉。特に個性なし、コンクリートの共同湯で透明、無味、無臭の単純温泉が掛け流しで使われている。56.1度の源泉で総計691mgである。



 

 

10湯布院温泉 玉の湯

玉の湯は泊まらないと良さがわからないのだろうか?普通の旅館に思われた。特に立派な外観でもなく、ただ広さはあるので平屋の建築で落ち着くであろう。



広報の担当者は私を良く知っており親切で対応が良く好感した。浴槽はやや小さめで一般的であった。明るいティールーム「ニコル」がある。



修善寺の「あさば」のラウンジも同じような家具で明るい雰囲気であった。山里料理の葡萄屋という食事処もある。きっと食事がおいしいのであろう。



私はいままで一番と思ったのは仙仁温泉「岩の湯」の食事で10年以上それ以上に感動した料理が無かったものである。



岩佐氏の絶賛する修善寺「あさば」の料理も数多く出てくるが、特に感動までには至らなかった。きっと玉の湯は料理が良いのかなあと推測した。

 

11湯布院温泉 無量塔

湯布院の坂の上にある高級旅館、庄屋の館の上に位置する、その噴気がすぐ下に見える。しかしこちらの温泉は60度台の単純温泉で個性は無い。



この旅館は一棟を一組で使う、ベットルームのほかに4.5室あり、広すぎて2人では落ち着かないであろう。大浴場はなく、客室専用の浴槽しかないのは残念。



しかし建築は太い柱と大きな梁で豪放で素晴らしい。しかし黒川温泉でもたまに感じる、「演出」を大きく感じてディズニーランドを連想してしまった私である。「タンズ」バーというところに音楽が流れていてスピーカーはJBLのパラゴンがあった。



無量塔の白眉だと思われた、明治館を見せてもらったが綺麗に移築されていて新築のようである。ここも5室ほどある大きな1棟であった。



茅葺きの屋根で総玄関の前にある。この宿は古民家の移築ながら雰囲気が出るのはまだ時間がかかりそうである。新潟の龍言も古民家移築ながら、奇麗過ぎて、無量塔と同じく新築のように感じた。



玄関は時代劇に出てくる居酒屋のような小さな障子の出入り口で、横に薪が積んであり演出された雰囲気が分かってしまう。支配人が丁寧に対応してくれた。





12湯布院温泉 亀の井別荘

前にも訪問しているが、ここが御三家では一番好きである。エントランスにある小さな門構えが絶妙である。これほどの結界を造り出す門を私はここしか知らない。



以前冬枯れのときも凛としたその門から、ここから中が亀の井別荘の別世界があるのだなあと思わせてくれた。このたび夏ながら気品の高さは同じであった。門の手前に彫刻の凝った物置があり、茅葺きの屋根で雰囲気を盛り上げていることも忘れてはいけない。



雑貨屋の「鍵屋」と料理処の「湯の岳庵」は結界の門の外にあり、観光客も入れる。以前も寄ったが天井の高い民家の造りで梁がむき出しの湯の岳庵で5千円ほどのコース料理を食べた。



少量であるが染み渡るように美味く、満足した。食べ終わるまで1時間半掛かる、前菜3品(アスパラの焼き物、おひたし、もう一つ)からしいたけの焼き物、肉料理(冷しゃぶ)、トマトとチーズの茶碗蒸し、ご飯、汁、デザートで生ビール2杯は満足であった。



隣の席は有名建築家の磯崎新氏だった。昼間の大浴場は私のために清掃を遅らせ独占させてくれた。支配人が対応してくれた。

 

13湯布院温泉 下ん湯共同湯

温い湯になっていた。金鱗湖が見渡せた露天風呂側には生垣が造られ景観が悪くなってしまった。観光客が多すぎるのが原因である。





 

 

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