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2010/04/03 東北 
沼尻温泉・横向温泉と幕川温泉

1 沼尻温泉 田村屋 (再訪)  75
  71.8度 酸性明礬塩化土類石膏泉(H-CaAl-SO4,Cl)
  なぜか硫黄分が抜けており、透明、酸味、無臭である。
  昔は薄白濁していた記憶 

沼尻元湯に明治19年より大正9年まで営業していた温泉宿。以来スキー場の下に移転して沼尻元湯から引き湯で営業されている。以前入浴した時には白濁した明礬泉であったが今回は透明でやや温泉の雰囲気が欠けた。酸性は同じく強いのであるが硫黄分の感触がほとんど無く、純な酸性泉、または明礬泉といった感じであった。泉質はH-Ca,Al-SO4.Clで酸性塩化土類明礬石膏泉である。PH1.9で71.8度、総計3002mgの温泉である。これは沼尻元湯の分析であろう。成分はH15.0mg Ca 264mg Al 90.2mg Fe 23.8mg Cl 377.6mg HSO4 433.6mg SO4 1465mg H2SO4(硫酸)13.8mg という内容である。硫黄分が抜けているのが不思議である。その通り透明、酸味、無臭で硫黄臭はなかった。元湯の川では石に多量の硫黄が析出しており、真っ白な石になっていたが、分析表では硫黄分の数値はゼロであった。

2 横向温泉 中の湯温泉旅館 (3回目) 80
  透明、渋鉄苦味、加温、金気臭 41度の単純泉ながら
  存在感はある。昔の浴槽は縁が上がっていたが、このたびは
  埋めこみ式であった。23年ほど前に宿泊 

久しぶりに再訪したが、建築は昔通りで健在であった。ここはヌル湯で以前訪問した時には、寒くてなかなか上がれなかった記憶である。今回は少し改修されており、すぐ横に加熱浴槽があったのでそちらで暖まることが出来た。最初の訪問は、そうとう昔で宿の女将に聞いても記憶が薄くなっているほどで、以前は中央に混浴のヌル湯1つのみであった。20年以上昔である。そこに源泉がただ掛け流されているだけであった。冬に宿泊すると、部屋の室温で零下の気温であった。すきま風が多く、ほぼ外気温と同じである。廊下にある手洗いは厚さ30センチ以上の氷の塊になっており、凄い宿泊施設だなあと思った。数人で宿泊したので自炊でキムチ鍋を作り、暖かくなったが、あまりに寒いのでコタツの中で寝た。緑白濁した温泉がパイプから直接湯船に注がれていたが、今回は2つに分かれた浴槽に源泉と加熱湯が注がれる方式になっていた。湯も清澄なもので透明、渋鉄苦味、金気臭となっていて緑白濁していなかった。横向温泉では隣の滝川屋では濁っているが、こちらは透明になっていた。しかし長年の常連客が多く、今回は満員状態で、小さな浴槽に7人で盛況であった。ヌル湯に長湯して、加熱湯で時々暖まるのであろう。41度の単純泉で総計は1149mgである溶存が781mgなので単純泉である。鉄分を7.8mg 含有する土類重曹系である。古いままの療養泉の宿が健在なのは嬉しかった。しかし昔の37度くらいの源泉そのまま掛け流しのころが懐かしく感じた。
3 幕川温泉 水戸屋旅館 (再訪)  85
  単純硫黄泉 84度 総計1397 溶存 928 HS 0.1 H2S 0.1
  硫黄分抜けた後の分析表であろう。白濁、たまご味、硫黄臭多目 
  渓流露天風呂は特に硫黄分が濃い 

土湯峠には温泉が密集しており温泉郷を形成している。独自源泉の宿が点在しており楽しい温泉巡りが出来る。この地域にも10年以上後無沙汰で最初に訪問した時は新野地温泉は旧館の木造のままであった。幕川温泉は深い山奥にあって、土湯峠の温泉郷でも山の奥に位置する。標高1300mで福島県一の高さである。近く幕滝から幕川温泉と名付けられた。分析表では84度の単純泉であるが5号泉の分析で、ほかの源泉は硫黄泉だと思われる。内湯は白濁し奇麗に掛け流しされている。木枠の浴槽でタイルの床に薄く湯が流れていた。露天風呂や小さな内湯岩風呂にも同じく白濁した湯が掛け流されている。この宿で記憶にあるのは屋上の露天風呂で、今回も行ってみたが樹齢800年の桧を刳り貫いた円形の2連浴槽で周囲の紅葉の色づいた景色と白い湯が印象的であった。離れにある露天風呂が秀逸で行ってみるべきである。ここはさらに白濁が濃かった。こちらは完全な硫黄泉で15から20mgの硫化水素含有量はあるであろう。真っ白(15センチ)、少酸味+たまご味、硫黄臭多目である。すぐ横に源泉があり湧出しているのが分かる。渓流露天風呂「さえりの湯」と称する。良い温泉であった。

4 幕川温泉 吉倉屋 (再訪) 80
  昔の分析表ではHS 3.3 露天風呂5号泉 白濁 
  内湯 1号泉 透明、 

幕川温泉は土湯峠から細い道を10分ほど行く秘湯である。2軒の宿があり、この吉倉屋と水戸屋である。白い外壁の木造2階の宿で長く連なり24室である。露天風呂の分析表は同じく幕川5号泉である。HS0.1mg H2S 0.1mgと硫黄分はほとんど含有していない分析になっているが、こちらも水戸屋と同じく濃く白濁していた。露天風呂が白濁しており真っ白である。しかし内湯は透明で不思議である。内湯は1号泉の分析である。岩組の露天風呂と総桧の内湯でそれぞれ違うような泉質で良かった。昔の分析表に拠るとHS3.3mgというのがあったが、現状でももっと多量に硫黄分を含有していると思われる。硫黄分は分析機関まで行く時間で飛散してしまうと思われる。いずれにしろ幕川温泉は白濁した立派な硫黄泉であった。

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